103話、貨幣


66日目。

ゴールドは、多数の兵器を買い取って帰っていった。防衛頑張ってね。国が無くなったらウチに来ていいからね。


朝はアリスとロミオと三人で朝ごはんを食べた。

ひとまずいろいろ食べてもらおうという事で、今日は和食を出してみた。

具沢山豚汁と、塩おにぎり。それと卵焼き。

卵焼きは、私は出汁派だ。というよりこの国では出汁巻きしかつくらせてない。

アリスもロミオも、何故か箸をつかうのが上手だ。上品に食べている。すごいな王族。


「昨日も同じように思ったが、おどろくほどに美味いな、この国の食事は……」


ロミオは御満悦だ。昨日は固いと思っていた表情も、今朝はしっかり笑顔だ。美味しいものは笑顔になるよね。


ロミオには、アリスの補佐をしてもらう事になった。そのメイドや騎士には、ロミオのついでにアリスの世話や護衛も兼任してもらう。

騎士たちの半分には、ローテーションで街の見回りもお願いした。魔物では解決できない事を主になんとかしてもらおうと思う。ちなみに騎士全員に聖剣を持たせた。みんな命令がないと声一つ出さないとか言われてたけど、全然普通にめちゃくちゃ驚愕してたよね。気持ちはわかる。

ロミオもなんだかんだソワソワしながら聖剣を見て羨ましそうにしていたので、ハヤトに装飾が美しい短めの聖剣をつくってもらった。ロミオはおもちゃを買ってもらえた子供のように喜んでいた。かわいいね。


さて、今回は王子たち二十六名、そしていつも通りの母子五十名が新しく住民になった。

今のところ、調理班、食材加工班、裁縫班、子守り班、力のあるお母さんはドワーフの手伝い、そして畑班など、いろいろと仕事を割り振っている。

そろそろ、お店とかつくりたいな。アリスと相談は必須だが、貨幣価値の問題もあるし、どうするか。


「……アダマンタイトでコインつくればいいのでは?」


おお、天才かもしれん。アリスに伝えとこ。





アリスに伝えたところ、なんと既に硬貨は用意はされていた。私の考えてることなんて天才の何歩も後ろなんだ……

サイズや装飾の細かい調整をして、住民の今持ってる貨幣との交換をして、ようやく使えるようになるわけだ。


アグニ王国で使われる独自貨幣として、新たにミスリル硬貨、オリハルコン硬貨、アダマンタイト硬貨が追加される事になった。

価値としては、他所の銅貨がミスリル硬貨、銀貨がオリハルコン硬貨、金貨がアダマンタイト硬貨、になる感じ。つまり我が国では、パンひとつがミスリル硬貨一枚、になる。

ゴールドとの取引はどうするの?という話だが、それはいままでどおり物々交換をメインに考える事にする。あっちは価値の高いものを超安価で買える事になるけど、こっちも新しい住民とか新しい物資とか情報とか買えてるし、ウィンウィンのはず。詳しくはアリスに任せるけど。最悪の場合でも、自給自足はできてるし……なんとでもなる。


「アダマンタイト硬貨、装飾すごいけど。なにこれ?」


「これはトロちゃんを従えるタキナの肖像だね。なかなかかっこいいでしょ?」


ハヤトとドワーフたちがつくった型から、また新しいアダマンタイト硬貨が生まれる。装飾、かっこいいけど。私かぁこれ。硬貨の装飾になっちゃったか、私。


「オリハルコン硬貨には、バハムートとニーズヘッグ、黒龍、フェルちゃんとかの大きな竜が。ミスリル硬貨には、巨大メタリックスライム娘のスラちゃんが載ってるよ。……巨大とメタリック要素は表現出来てないから、ほぼスライム娘だけどね」


うんうん、これはマニアが欲しがりそうなコインだな。スラちゃんかわいい。


「そして、これは記念の深海鋼の大判硬貨。タキナとゼストさん、アリスちゃん、マリアちゃんが描かれているんだ。大きくて綺麗でしょ?これは五枚しかないから、描かれてる四人に渡すのと、あと一枚は何かあった時用だね」


Lピザくらいのサイズあるけど、硬貨なんだ。……私は部屋に飾ろうかな。美少女に囲まれた私、いいな。良い。

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