第12話

俺はあれから斗真に俺達の結婚案を出し、了承を得た。

それからというものの、週に3回はあんなことやこんなことをし、

バイトに励み、少しでも将来の金の足しになればと必死に努力した。


成績は今までとは比にならないくらい右肩上がりし、ついに今日俺は卒業した。


「せんぱあああああああい卒業しちゃ嫌ですよおおおお!!!」

「なんでだよ(笑)留年する方が嫌だわ。」

「毎日学校行ってバイトも頑張るので毎日先輩の家行ってもいいですか?」

「その毎日を頑張れるんなら別にいいよ。」


寂しいのは斗真だけじゃない。俺だって寂しい。毎日一緒に帰れないし、俺は次は就活で忙しくなって斗真と過ごせる時間が少なくなる。でもそんな日々は1年続くだけだ。


それを乗り越えたらきっと、幸せな日々が待っているはず。


俺達は互いに、就活や勉学に励んだ。どうしても会えないときにはビデオ通話をしたり、交換日記をしたり。


毎日が充実していたと思う。


俺は、まあまあ大手企業から採用をもらい、仕事を始めた。最初は大変で、ミスばかりの日常だった。だけど、そこでの唯一の救いはやはり恋人の斗真の存在。

全てを癒やしてくれる。


時には、会えない日が続いて溜まったものを斗真の私物でヌイたり。

正直辛かった部分もあった。だけど、それがあと3ヶ月となったところで、朗報が来た。


斗真があれからものすんごく勉強を頑張ったらしく、早期卒業制度の対象になるくらいの優秀な生徒になったらしい。

そして、無事に卒業をし、俺のもとへと帰ってきた。


「せんぱああい!!!ただいまあああ!!!!!」

「おかえり、斗真。」

「先輩と大学で会えなくて人生どん底ってくらい寂しかったですぅ!!!」

「俺もその…寂し…かっ…た。」

「え!そんなこと言ってくれたの初めてですよね?!えへへ、また先輩の初めてを俺がもらいましたぁ〜。」


更に愛おしくなって帰ってきた斗真を見て、今すぐにシたいと思った。


「斗真、シャワーを浴びよう。」


斗真は驚いた顔をして、


「え、俺臭います?!」


と言ったので、面白くなった。


「そうだなぁ。幸せ臭がするかな!すんごい甘くて今にでも襲いたくなる。」

「ははーん?なるほど。ベッドですね?よし!わかりました!今日スーパーで割引されてたお肉でビーフカレーを作ります。そのあとに、を食べましょうかね!」

「そうするしかないな!」


じゃあ早く準備しないと!と斗真はとても張り切っていた。


「(なんだか、懐かしいな。)」


また斗真の手料理が食べれるとなるととても気分が弾んでいた。




===



そして数カ月後、俺達は婚姻届に記入し、証人の将斗にも記入してもらい、指輪を買いに、ブライダル専門店に行った。


「14号がお互いぴったりサイズか?」

「試した感じそのくらいですかね。」

「じゃあこの2つをお願いします。」


「ご来店ありがとうございました。」


「せ、先輩…お金大丈夫ですか…?」

「え、なんで?」

「だ、だって、22万…」

「俺らの一生の宝物に22万払うなんてお安い御用だろ。」

「さすが、先輩男前…」

「今日からよろしくな、俺の夫として。」

「え、俺妻側ですか?」

「え?」

「ここは先輩が妻側でしょう。抱かれる側なんですから。」

「抱かれる側は自動的に妻になるのか…」

「今日もとことん抱いてやりますよ♡先輩♡」

「よろしくお願いしますよ、旦那。」

「あ、その呼び方ずるい!!」


今日も俺達は平和だ。

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