第52話:断章の月夜、そして新たな決意

戦闘は激しさを増し、月明かりのもとで繰り広げられた戦いは一層壮絶なものとなっていった。ソウタとリナは持てる力の全てを引き出し、セリュナとグレイアンに立ち向かっていた。


しかし、闘志と共鳴する魂だけでは勝利を掴むことはできない。グレイアンの風の力は、時として嵐のごとく、時としてそよ風のように変化し、彼らの攻撃を翻弄していた。


セリュナもまた、その風に舞いながら剣を振るい、ソウタとリナに重圧を与え続けた。


だが、その瞬間、何かが変わった。


リナが放った一本の矢が、セリュナの風を突き破り、その身体に突き刺さった。セリュナはそのショックで一瞬動きを止め、その間にソウタが最後の力を振り絞って剣を振るった。


セリュナは反応が遅れ、剣でソウタの攻撃を受け止めたが、その力の差が明らかであった。セリュナは後退し、傷口から血を流して地に膝をついた。


グレイアンは驚愕し、セリュナの元へと駆け寄った。「セリュナ!」


セリュナは苦痛に顔を歪めながらも、強がりを見せた。グレイアンは彼女の肩を握り、断固とした表情で宣言した。


「これ以上は無意味だ。撤退しよう、セリュナ。」


セリュナはしばらくの抵抗の後、とうとう頷いた。


リナとソウタも、その場で息をついた。彼らもまた、多くの傷と疲労を抱えていた。


そんな中、グレイアンとセリュナは後退し、リナとソウタの前から姿を消した。二人はその場に残り、月夜の下で新たな決意を固めた。


「次は、ヴォルガだ...」ソウタは決意の眼差しで言った。


そして、月が緩やかに流れる中、リナとソウタはシャングリラでの新たな闘いへの準備と心の整理を始めた。

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