第19話 希望の種

月明かりの下、シャングリラの街は平和そのものとは言えない雰囲気に覆われていた。しかし、リナとソウタの戦いが夜ごとに街を守っていたことは、静かに街の人々の間で囁かれていた。


ある朝、リナとソウタは普段の巡回をしていると、通りかかった小道で子供たちが「リナさん」、「ソウタくん」と呼んで走ってきた。彼らはリナとソウタが夜な夜な街を守っていることを知っていた。


子供たちの目は純粋でありながらも、どこか重いものを感じさせた。戦いの日々が彼らの純真さを奪い始めていたのだ。


リナはその子供たちの目を見て、微笑みながら膝をつき、子供たちと目線を合わせた。


「あんたたち、夜は家でおとなしくしているんだよ。リナさんとソウタくんが、街を守っているからね。」


ソウタも隣で頷き、子供たちに勇気づける言葉をかけた。


「だから心配しないで、夢見る力を失わないでほしいんだ。」


子供たちはリナとソウタの言葉に、勇気づけられたような表情を見せ、元気よく頷いた。


その日、街の広場では、老若男女が集まり、リナとソウタの戦いに対する支援と励ましの声が高まっていた。街の人々は彼らの勇気に感銘を受け、自分たちも何か行動を起こそうという動きが広がっていた。


街の人々は夜の安全を守るバリケード作りを始めたり、互いの安全を確認し合うコミュニティを築き始めた。


リナとソウタはその動きを見て、街の人々が一致団結している姿に感動した。それは彼らの戦いが無意味ではないこと、そして街の人々に希望を与えていることの証だった。


この街の人々は、リナとソウタの戦いを通して、困難な状況でも希望を失わない力、そして互いを助け合う力を思い出していた。


そして、リナとソウタの戦いが、この街に新たな「希望の種」をまき散らしていたことを、彼ら自身が最も強く感じ取っていたのだった。

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