Free Area Online〜HP特化型不死者のお嬢様は今日もカウンター技でぶん殴る〜
樹亀
始まり by.妹
はじめに
本作は完全に作者の趣味嗜好を基点として出来上がったものなので、色んな他作品様を参考にさせて頂いてます。
なんか既視感あるなと思ったらそういうことなので、『俺(私)は完全なるオリジナル作品が欲しいんだ!』という方はブラウザバックをお願いします。
また、感想等で『参考にしたの〇〇(他作品様)だろ』のように明確に名前を出したりしてしまうと、そちらの作品を未読の方にあらぬ誤解を与えてしまう可能性が微レ存するのでお控え下さいますよう。
・ー・ー・ー・ー・
コンコン。
「はーい?」
「お姉ちゃん、私。入るねー」
「はーい」
お姉ちゃん呼びは我が家では妹の咲希しかいませんね。
突然どうしたんだろう?
咲希が部屋を訪ねてくるのなんて中々な……いや、そんなこともありませんね。
夜中とかに布団に潜り込んできてました。甘えん坊将軍ですからね、うちの妹は。
さて、部活帰りだからでしょう、ユニフォームに身を包んだ咲希に要件を尋ねる。
「どうしたの?」
「おねーちゃーん、ゲームしよー」
「ゲーム?」
まぁこれも珍しいことではありません。
昔から色んなことを一緒にして遊んできましたからね。
少しだけ懐かしさに浸りながら咲希から差し出されたものを受け取る。
「これは……Free Area Online?」
「そ、新作のフルダイブ型のVRMMOだよ! 面白そうだったから買っちゃった! あ、ちゃんとお姉ちゃんと私の二つ分あるよ!」
「へぇー……あ、思ったよりも軽い」
「だよね。私もそれ思ったんだけど、発売元はちゃんとしてるから安心していーよ!」
VRゴーグルも入ってるはずなのにあまりに軽くて一瞬中身すっからかんのパチモンなんじゃないかと思いましたが、そうでも無いみたいです。
最近の技術は進歩してるんですねぇ……。
「で、サービス開始するのが明日の12時だったかな? それまでにキャラクリとか済ませとこうよ!」
「あ、まだ始まってないんだ。てっきりもうすぐに出来るものだと……」
「普通のものだとそうなんだけど、これはオンラインのゲームだからね。調整とか色々あるんじゃない?」
「なるほど」
箱を開けると中には本体と薄い説明書が入っていた。
特に何を考えるでもなく説明書を取り出してパラパラと読んでいく。
初期設定では三つの状態をスキャンします。
立った状態と座った状態、そして寝転んだ状態です。
その一連の流れを出来る限り本体を取り付けたまま行ってください。
ただし無理は禁物です。
何らかの事情により無理だと感じた方は速やかに機器を取り外し、個別に状態をスキャンしてください。
状態の遷移についてはアナウンスによる指示があるのでそれに従ってください。
ほうほう。
「じゃ、私も部屋で設定してくるね」
「んー」
顔を上げて咲希を見送った後、再び説明書に目を落として続きを読み進める。
えっと、『本体にはアラーム機能が備わっており、昼食や夕食時に設定するとゲーム内にて知らせてくれます』……か。
これは設定しておいて損はないか。
設定方法は…─なるほど、ここをこうして、こうすれば……よし、多分できた。
次は……えっと、『本体の後頭部分は取り外しが出来ます』?
どういうこと……? と思いながら本体を装着した時に後頭部に来るであろう部分をまさぐっていると、そこがカチッという音と共に外れる。
……あぁ、なるほど。
寝転んだ時に邪魔にならないようにってことですか。
納得です。
さて、その続きは……後は大体注意書きみたいな感じですね。
これは適当に飛ばしながら読み切る。
あとはゲームの方の説明書か。
こっちも読もう。
このゲームはフルダイブ型のVRMMOゲームとなります。
極めて稀有な事例ですが、ゲームを始めるにあたって体調に何らかの悪影響が及ぶ方がいらっしゃいます。
もし体調に何らかの異変を感じたのなら、速やかにプレイを取り止め、病院等の受診を強くお薦めします。
注:このゲームはオンラインゲームですのでオンライン状態を維持するためにインターネット回線が必須となります。お手数をお掛けしますがご用意の程よろしくお願いします。
《本作を遊ぶにあたって》
・本作は完全没入型のVRMMOとなっております。そのため、ゲームをある程度進めていただくと現実では到底なし得ないような動作が可能となります。しかし、それはあくまでゲーム内のみの可能動作であるため、決して現実で同じように動作できるという保証は無いことを十分に留意してください。
・ゲーム内にて個人情報が分かる発言は控えましょう。大変危険です。
・本作は沢山の方々が交流するオンラインゲームです。
そのためリアルとゲームを混同しないようにしましょう。
本作はRPG、つまりロールプレイングゲームとなります。
そのためアニメや漫画のキャラといった自分の好みの容姿、発言をとる方々もいらっしゃいます。
お互いを尊重し、認め合いましょう。
しかし、だからと言ってリアルでの犯罪行為をゲーム内で行ったとしても普通に犯罪です。
たとえ理由があろうとなかろうと、そういった迷惑行為は絶対にやめましょう。
ネットリテラシーを守り、楽しくプレイ!
保護者様は以上のことをお子様へ伝達していただけますと幸いです。
それでは皆様、ご協力のほどよろしくお願いします。
本説明書きの詳細は公式ホームページにて掲載中です。
なるほど。こういったゲームは初めてでは無いので、ある程度は承知しているつもりですが気を付けましょう。
さて、それじゃあ初期設定をしましょうか。
床に置いてあるミニ机は邪魔になるので片付けて……と。
とりあえずベッドに腰掛けたまま本体の電源を入れてを取り付けます。
『こんにちは、私はサポートAIです。これより本機器の初期設定を始めます。まずはアカウントの選択、または設定をお願いします』
このゲーム機でのアカウントは持ってないのでメールアドレスなんかを記入して作ります。
『アカウントが決定されました。次にスキャンを開始します。なるべく体のラインが出る服、または薄着をおすすめします。……それでは、まずは立った状態を5秒間キープしてください』
薄着に関しては今の季節は春ですし、部屋着なので問題ないですね。
足元に気をつけながら立ち上がり、スキャンを進めていきます。
最終的に寝転んだ状態になって数秒待つとスキャン完了までがパーセンテージで表示されて、ゲージが溜まるまで待つことになりました。
『──スキャンが完了しました。スキャン結果を表示します』
えっと、身長156、体重50……ってちょっと待とうか……うっそ、50超えてるっ!? 嘘だ、嘘だと言ってくれ! や、や、痩せなければ……。原因は……いつの日か食べたお肉かなぁ……いや、違うな、そういえば私一昨日辺りにおやつでドーナツつまんでたわ……。何やってんだ一昨日の私〜……!
……とまあ、今は一旦気を取り直して次に進みましょう。また後ほどのことは未来の私に託しまして、と。
うん、頑張れ、私。
そうした軽いボヤがありつつも、次へ進むと自分と同じ姿をしたマネキンみたいなのが出てきた。
『こちらがゲームをプレイする際の基礎データとなります。それぞれのゲームにてこちらを土台としてキャラクタークリエイトを行います。この基礎データは右上のオプションにて更新することが出来ます』
ほへー、鏡で見たままなくらい本物そっくり。
……あ、でも流石にホクロとかまでは再現されてませんね。
まぁそれでも凄い技術なのに変わりありませんか。
『以上を持って初期設定を完了します。……一件のゲームデータを確認しました。ダウンロードしますか?』
すると画面に〈Free Area Online〉と書かれたものが出現した。
あ、ダウンロードしなきゃなんですね、これ。
〈はい〉を押してダウンロードの画面に移行する。
『ダウンロードを開始します。終了予測時間……およそ2時間。待機の際は本体を取り外し、充電コードをお繋ぎください』
指示に従って取り付けていた本体を外し、ベッド脇から充電コードを持ってきて繋ぐ。
ふと時計を見ると針は6時手前を指しており、ちょうど夜ご飯の時間だった。
ご飯やお風呂など色々こなした後、本体を確認してみるとダウンロードが完了していたので、電源を切ってからネットでこのゲームについて調べてみると、思いのほか自由度が高そうで面白そうでした。
そうこうしているうちに寝る時間になったので、明日の12時が少し楽しみになりながらベッドに入り就寝。
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