第13話 ごめん、やっぱり姫様はアホの子だった

 只今、らせん階段を上っている真っ最中。

 下りのときと同様に、イーヴァが先頭でリスティアはオレに腕組みだ。

 さっきと違ってリスティアは鎧を脱いでラフな薄着姿だから、いろいろとヤバい。

 たゆんたゆんが、ぽわんぽわんで、ふにゃんふにゃんだ。


 こんな経験は異世界で勇者でもやってないとできなそうなので、しばし堪能させてもらってるけど、このまま黙って歩いていると、理性が限界突破してしちゃいそうだ。

 紛らわすためにも、気になっていることを尋ねてみることにしよう。

 訊きたいことはいっぱいあるけど、再優先すべきなのは2つ。


 1つ目は、「リスティアはどうしてオレに対して好感度MAXなのか?」だ。

 でも、これを訊いて、「勇者さまは勇者さまだからだよ〜〜」とか返されたら、オレはこの先を続けていく自身がない。

 そんなん、キャバ嬢に「お金をおとしてくれるから好きだよ」って言われるようなもんだ。


 だから、これは保留。


 2つ目は、このイージーモードっぷりについてだ。


 今回の魔王討伐、オレの立場から見たメタ視点では、「オレがイージーモードを選んだ結果の、短時間・攻略ガイド付き」という楽チンなご都合主義な仕様になっている、と言えるだろう。


 これがゲームだったら、なんの問題もない。

 いや、一本道ヌルゲーだって批判は殺到するだろうが……。


 だけど、ここは異世界で、リスティアもイーヴァも実在する人間にしか思えない。

 後数時間で世界が滅びかねないという状況なのに、二人とも特に慌てたりも、悲壮になったりもせず、楽観的な様子だ。

 そんな二人の態度に、オレは強い違和感を覚える……。


「なあ、そもそも、なんでこんなにタイムリミットがギリギリなんだ? もっと早く召喚できなかったのか?」

「勇者召喚の儀には日月星辰(じつげつせいしん)――星の巡りが重要なのです。儀式を行うには6つの星が正しい位置にあるときでなければなりません。そして、その機は年に一度訪れます。本来ならば、勇者召喚は一年前に行われるはずでした。しかし、そのとき儀式を執り行える唯一の存在である姉上が――――すっぽかしたのです」

「つい、うっかりしちゃっててね〜〜〜」


 悪びれずにリスティアがそう言う。


「そんな大事なことフツー忘れるか?」

「姉上ですので」


 なにを今さら、とイーヴァは諦観の表情だった。


「エヘヘヘ」


 エヘヘヘじゃねえ!

 さっきちょっと見直したけど、やっぱポンコツだ。

 でも、ポンコツかわいい。かわいいから許す。

 カワイイは正義だ。

 よし、許すからおっぱい揉ませろ!


「でも、そのぶん頑張ったんだよ〜」

「自業自得です」

「あう〜〜」


 冷たくイーヴァが突き放す。

 うん、オレも同感だ。


 レベル上げとか、ドラゴン攻略とか、やけに頑張ったんだな、と評価してたけど、単なる自分のミスの尻拭いじゃねえか!

 しかも、ありえないレベルの致命的なミスだし。

 王族じゃなかったら、確実にクビが飛ぶ案件だろ。

 やっぱ、揉んどくか?


 そう思いつつも、実行に移すだけの度胸なんてないから、妄想の中で目一杯揉みしだいておいた。


 なるほど、タイムリミットがギリギリな理由は把握した。

 でも、他にも気になる点がいくつかある。


 だが、それを問いかけようとしたところで――。


「到着いたしました」








   ◇◆◇◆◇◆◇


【後書き】


次回――『自称処女なビッチとピュアなNTR野郎』


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