第35話 発進! 究極形態ブリキングスロボ∞!!!
「マー!」
「ヤー! パワー!」
マンドラゴラが回し蹴りを放つ。
俺は両腕をクロスして防ぐ。
引きつけるのは任せろ!
「今だ! かましたれ!」
『うおー! パワァアアアアアアア!!!』
零華は魔法で作った氷のハンマーを力いっぱい振るう。
マンドラゴラの胴体に渾身の一撃を叩き込んだ!
『本気で殴ったけど全然効いてなさそう!』
「マジか!?」
マンドラゴラは吹き飛ばされながらも後方にキックを放つ。
その風圧で勢いを殺して着地すると、すました声で鳴いた。
「マアマア」
『我の全力攻撃がまあまあだと!? うわ腹立つー!』
「なんだテメェいっちょ前に煽りやがって!」
……とは言ったものの、俺たちが劣勢なのは間違いない。
ワンパンとか以前に、普通に倒せるかも怪しくなってきた。
俺と零華のマジ攻撃でほとんどダメージ入らんのキツすぎ!
唯一の救いは、マンドラゴラがコンちゃんとシロナをガンスルーしてることだけだ。
取るに足らない格下だと侮ってるのか、俺と零華にしか攻撃してこない。
コンちゃんが超強力なバフが使えることを知れば、マンドラゴラはコンちゃんを最優先に倒そうとするだろう。
だからコンちゃんのバフはここぞという時に使ってもらう。
「相手は植物……。大人しく炎とか使うか?」
『でもそれだとマンドラゴラの味が落ちちゃうかも……』
「マー!」
マンドラゴラは容赦なく攻撃してくる。
その衝撃波飛ばしてくるの強すぎなんだよ!
防御できねぇし
「うまいマンドラゴラを食う夢は諦めるしかねぇってのかよ……チクショウ……!」
『そんなぁ……! 勝てても三日くらい泣くぞ我ぇ!』
「今回は大人しく諦めましょうよ! またマンドラゴラを手に入れた時にしっかり準備してから育てればいいじゃないですか!」
「きゅい! きゅう~!」
零華がマンドラゴラの足元を凍らす。
キックを封じながら拘束した隙に肉薄した俺は、クレーターができるほど強く踏み込む。
渾身のパンチを放ったが、葉っぱであっさりとガードされた。
「涼しい顔しやがって!」
「マアマアマア」
「だから煽ってくんな!」
マンドラゴラは無理やり氷を破壊して拘束から逃れる。
そこへ零華が斬りかかった!
王都で買ったバスターソードを氷帝魔法で強化したものだ。
直撃すればさすがにダメージを与えられるだろうが、マンドラゴラは葉っぱブレードで防御してきた。
『うわっ!? 葉っぱ伸びよった!?』
と思ったら、葉っぱブレードがバスターソードにぐるぐる絡みついて完全に攻撃を封じてしまった。
スキルで伸縮自在な上に柔軟性が高く、さらに切れ味バツグンとか使い勝手よすぎだろその葉っぱ!
『我に構うな! やれー!』
マンドラゴラは零華を封じるので手一杯になっている。
今のうちに俺が攻撃しまくるっきゃねぇ!
「ママママッマッマーーーアアアアアアアアアアアアッ!!!」
マンドラゴラの頭部から大量の葉っぱがニョキニョキ伸びてきた。
ウッソ!? そんな簡単に生やせんの!?
「薄毛治療もビックリの速度!」
『そんなこと言ってる場合ちゃうよーっ!?』
マンドラゴラが大量の葉っぱを周囲一帯に振り放った。
無差別全方位攻撃!?
しかも葉っぱが多すぎて逃げ場がねぇ!
俺と零華はどうにかできても、巻き込まれたシロナたちは確実に死んじまう!
「『ヤバぁぁぁぁぁい!?』」
「ぎゃー!?」
「きゅー!?」
絶体絶命の大ピンチ……ッ!
その瞬間、目の前に闇が現れた。
「うお……! 葉っぱ完全に止まってる!?」
俺だけじゃなく、シロナたちも闇で守られていた。
なんだこの闇!
よくわかんねぇが助けられたのか!?
『この闇は深淵魔法!?』
零華がハッとしたように叫んだ。
しかも、なぜかマンドラゴラに奪われたはずの魔力が完全回復していた。
『この魔力の質はまさか!?』
どゆこと!?
またしても何も知らない星宮なぎさ状態だぞ俺!
零華に詳しく聞こうとした時、聞き慣れたウザい声が響いた。
『しごできな
邪竜ちゃん!?
助けてくれたのか!
「ありがてぇが、マンドラゴラは相手の魔力を奪ってパワーアップできるんだ! 逃げろ邪竜ちゃん! お前の魔力まで奪われたらいよいよマンドラゴラが最強邪神になっちまう!」
焦る俺を邪竜ちゃんは鼻で笑った。
『問題ないわ!』
「ママーマーママー!」
マンドラゴラが邪竜ちゃんの魔力を奪おうとスキルを使う。
だが、パワーアップするそぶりは一切なかった。
『
「無敵の人になってもクソガキにはなるな。助けに来たっつっても、魔力を失った今のお前に何ができるんだ?」
『喚くことぐらい?』
『
邪竜ちゃんは闇でマンドラゴラを拘束しながら、小袋を俺に投げてきた。
「これは?」
『
「麻薬密売人みたいな言い方するな」
俺は
中から新鮮な出世魚が出てきた。
「ブリだァァァァァァァァァァ!?」
『キターーーーーーー!?』
俺と零華の脳に今、ビビッと電流が走ったぜ!
勝てるビジョンが舞い降りた……ッ!
『うっ……! 闇を維持するのもう限界……! 絶対に勝つんじゃぞ!』
邪竜ちゃんが最後のエールを送ってきた。
バトンは受け取ったぜ。
後は任せとけ。
「ブリで神獣クラスにどう勝てと?」
シロナがなんか戯言をほざいていた。
何言ってんだ?
マンドラゴラに勝つにはブリしかねぇだろ。
『シロナよ。気づかないか?』
「ブリ。マンドラゴラダイコン。ブリ。ダイコン。つまりそういうことだ」
「どういうことだよ」
『朧気ながら見えてきただろう? 答えが』
「何も見えないですけど」
「ちなみにコンちゃんは見えてる?」
「コン!」
『見えてるってさ』
「コンちゃんさん!? ああ、ついにコンちゃんまで
「ママママママママママ、マァァァアアアアアアアアーーーッ!!!」
闇の拘束が解けたマンドラゴラが叫ぶ。
今度こそ俺たちを追い詰めたと勘違いしているようだ。
お前に圧倒されるだけの俺たちはもう終わりだ。
見せてやんよ。
俺たちのはちゃめちゃパワーをな!
「行くぞ! フォーメーションブリ大根だッ!!!」
『おーーー!』
「きゅーーー!」
俺はコンちゃんを肩に乗せ、零華と共に【創造】を発動する。
零華の魔力譲渡を通すことで、【創造】に神獣約二体分の魔力を投入した。
初の共同製作コラボレーションだ!
これが俺たちの最高傑作じゃい!
「『──発進! 究極形態ブリキングスロボ
「こーんっ!!!」
全長十メートル以上!
エネルギーコアに新鮮おいしい特上ブリを採用!
厳ついブリ頭の巨大戦闘ロボが爆誕した!!!
『オペレーティングシステム正常に起動完了! データをコンちゃん指揮官に転送しました!』
「こん!」
『確認した了解! これより戦闘態勢に移ります! なぎさ上官、武装モードの展開をお願いします!』
「こちらなぎさ。武装モードの展開完了! いつでもいけますどうぞ!」
俺たちは巨大ロボのコックピットにて配置につく。
零華がロボの操縦。
俺が武器切り替えなどのシステム担当。
コンちゃんが指揮官だ。
「マっ、マ……!?」
ブリキングスロボの威圧感にマンドラゴラは思わずたじろぐ。
さあ、クライマックスといこうか。
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