まぼろし

「やったー! ついに!」


 男は泣いて喜んだ。


 ついに、ついに、念願の……を手に入れたのだ。


「これは、夢ではないよな」


 男は、自分の頬をつねってみる。


「痛っ」


 痛い。

 と、いうことは、夢ではないのだと、確信する。


 夢ではない!


 夢ではない!


 なんと嬉しいことなのだ!


「うわぁーい!」


 跳び上がった男の頭上から、無情な声が届けられた。




「この魔法はあと十秒で解けます」







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