第13話天童寺家へ
「ただいま真昼帰ったよ」
「おかえり〜」
鍵を使い自宅の扉を開いた真白が声をかけると、奥の部屋の扉から真昼がひょっこり顔を飛び出した。
そしてそんな仲のいい姉妹の後ろで夏樹は、両手にぬいぐるみやフィギュアのは言った袋を持ちガッチガチに固まっていた。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい
ヤバい!!!
マジで来ちゃったよ俺!
マトモに話した事ない女子の家に!
いやマジでおかしいだろ!
何で真白さんは俺みたいなよく分からん男を平気で家に誘っちゃうの?怖くないの?
そして俺も俺で何でそんなホイホイ着いて行っちゃうの?
これクラスの他の男子にバレたら殺されない?
俺そう言うの詳しくないけど、確か真白さんってモテてたよね?
大丈夫俺?
「あの〜夏樹さん?入らないんですか?」
「あ、あ、あししし失礼しまふ……」
「あ!なつきぃ〜だ!」
だ か ら !
何で入るんだよ俺は!
そんな訳でリビングに通された俺は晩御飯をご馳走してくれるらしく、その準備が出来るまでの時間を真昼ちゃんと一緒に過ごす事になった。
「なつきぃ〜ゲームしよぉ」
「う、うん。な、何のゲームする?」
「スラブラやろぉ〜!真昼こっちの方が得意だから前のリベンジ!」
「う、うん」
そんな訳で夏樹と真昼ちゃんの2人はリビングにある少し大きめのテレビで、晩御飯が出来るまでの間軽く勝負する事になった。
真昼ちゃんは勿論子供にしてはめちゃくちゃ上手いのだが、その分野ではないにしても腐ってもプロな夏樹との差は歴然であった。
その為後半は勝負では無く夏樹が真昼ちゃんに、ゲームを教える形で遊んでいた。
「真昼それと夏樹さんも晩御飯出来ましたよ」
「やったー!晩御飯何ぃ〜?」
「あ、ありがとう……ございます。」
真白の声を聞いた真昼ちゃんは、夏樹の膝から立ち上がると小走りで真白のいる方へと駆け出し、今の自分が置かれている状況がまだ上手く理解出来ていない夏樹は、よく分からないまま釣られるように真昼ちゃんの後をのそのそと着いて行った。
「今日の晩御飯はカレーです」
「やった!真昼お姉ちゃんのカレー大好き!」
「あっ夏樹さんはカレーとかって大丈夫でしたか?アレルギーとか聞かずに作っちゃったんですけど……」
「あ!い、いえ……アレルギーは特に無いので。そ、それにご飯を作ってくれるだけで……その、嬉しいです。最近はカップ麺しか食べてなかったので……」
「それはダメですよ!もっと日頃から栄養のある物をを食べないと、今年は特に暑いんですから倒れちゃいますよ?」
「あ、あはは……そ、そうですよね。」
高校入学と共に一人暮らしを始めた夏樹は、最初の頃は一人暮らしに浮かれ色々自分でご飯を作っていたが、それも1ヶ月も続かずその後は、大体一年以上デリバリーやコンビニ弁当、忙しい時はカップ麺生活をしていた事を改めて思い出し何も言い返せず、そして1年ぶりの人の作った料理に自然と涎が溢れてきた。
「それじゃあ食べましょうか、せーの」
「「いただきます」」「あ、いただきます……」
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