ダンジョンに入って不完全転生した俺は人間に戻りたい

@KURONOINU

孤独な闘い

第1話 「入場」



「よっしゃ!早く帰ろう!」


 俺はバックを担ぎ一番乗りで教室を出る。


 今日は文化祭の片付けだけで午前帰りだからな!

 友達と遊ぶのも悪くないが、俺は帰宅部でみんなは部活に入ってるからな。

 今日は一人で自由な時間を過ごそう。

 ゲームでもするか、気になってた漫画でも買いに行くか、時間はたくさんあるからなー。悩む。


 昇降口を出て、駐輪場についた俺は、ワクワクした気持ちを抑えながら、ポケットから取り出した鍵で自転車の鍵を開ける。ハンドルを持ちながら走りそのままの勢いでサドルに飛び乗った。


「お昼はこのまま牛丼屋に行くってのもいいかもなー」


 俺は、お昼ごはんのことを考えながら自転車を漕ぐ。俺の気持ちはもう牛丼に一直線だった。 



「うまっ!うますぎる!」  


 俺はクーラーの効いた店内でひたすら牛丼を掻き込んでいた。


 もう9月も半ばだってのに夏みたいに暑いからな。しかもアプリのクーポンで温玉一つを無料で付けちゃったからなー。


 こんなにもすべてが上手くいってる日は、久しぶりだからな。

 今日は何もかもうまくいく気がするな。家に帰って夜までFPSのランク回してれば、初めてマスターランクまで昇格できるかもしれない。


 そう思うと残った米を一気に食べると俺は席を立ち、会計を済ませた。






「この坂を下ればもう家だ!」


 この50メートルくらいの坂を下り左に曲がれば家につく。家についたらゲームができる。そんな気持ちでいっぱいで俺は坂を下りながら自転車を全力で立ち漕ぎしたいた。


 だから止まれなかった、あれを目の前にしても。


 ゲートを。



「は?やべ―――――」


 一瞬にして出てきたゲートは次の瞬間には縮み始めたが、完全に縮みきりゲートが消え入る瞬間、俺は吸い込まれれるようにしてゲートに入ってしまった。


 そして目の前に現れた壁にぶつかり死んだ。


 ◆◇◆◇


 —————————————————————

《混沌のダンジョンへの入場を確認しました》


《ステータスを付与しました》


《貴方は死亡しました》


《称号【即死者】を獲得しました》


《称号【即死者】によりスキル【蘇生Lv-】および【救済Lv-】を獲得しました》


《スキル【蘇生Lv-】により蘇生されます》


《肉体がありません。霊体での蘇生を実行します》


《称号【霊体生存】を獲得しました》


《称号【霊体生存】によりスキル【魂喰いβ】および【物理攻撃耐性Lv1】を獲得しました》

 —————————————————————


「ファ⁉︎」


 俺は奇声あげて起き上がった。周りは暗い洞窟のようだ。壁にぶつかったんじゃなかったか?死んだのでは?


 体中を触って確かめる。ヨシ!生きてる!


 は?手が透けてる?全身を見てみても透けている。


 いやいやいやいや!?見間違いだ!頭を打ったんだ!もう一度見たら戻ってるはずだ!


 目を開いてもう一度見てみてみるが相変わらず俺の体が透けてその先が見えている。


「どういうことだ?なんで体が透けて—」


《スキル【救済lv-】を使用しますか?》


 うぇ!?こいつ直接脳内に!?


 なんなんだ?この声?起きる前にもなんか聞いたような気がするけど、さっきから色々なことが起きすぎてて理解が追いつかん!


《スキル【救済Lv-】を使用しますか?》


 だから!ちょっと待ってって言ってんじゃん!


 あんただれ!?スキル救済ってなんなん?


 こっちは時間が欲しいのよ、わかる?


《スキル【救済Lv-】を使用しますか?YES/NO》


 うっせーよ!バカ。お前はRPGの一生同じことしか言えないモブキャラか?そのくせしてお前から話しかけててくるとか地獄だろ。やめてくれ。


《スキル【救済Lv-】を使用しますか?YES/NO》


「わかったよ!YES だYES !黙れ!」


 やっべ。反射でYESって言っちゃた。どうしよ、この自動音声(よくわからん)が死は救済とか言い始めたら。


《スキル【救済Lv-】の効果により任意のスキルを取得することができます。スキル名を言ってください》


 え?スキル?スキルって言えばゲームとかでよくあるやつで魔法とか使えるやつ?それがもらえるの?異世界転生ですか?えぇ?急に言われてもわかんねーよ。


 俺が知ってるスキルといえば転生系ど定番の鑑定とかなんだけど。言ってみるか?


「…か、鑑定?とか?」


《スキル【鑑定Lv-】を獲得しました》


「いや一瞬かよ!」


 いやでも急にスキルとか手に入れちゃったけどどうやって使うんだ?脳内再生くんはおしえてくれないの?言えばいいのか?とりあえず自分に手を翳して言ってみる。


「鑑定…」


 —————————————————————―――――――――――――――――

 ステータス


 名前 ―― ―― Lv1

 種族 ゴースト


 HP 20/20

 MP15/15

 SP 20/20


 攻撃能力15 防御能力11

 魔法能力13 抵抗能力12

 速度能力14


 スキル

【救済Lv-】【蘇生Lv-】【物理攻撃耐性Lv1】

【魂喰いβ】【鑑定Lv-】【暗視Lv1】

【浮遊Lv1】【透過Lv1】


 称号

【即死者】【幽体生存】


 SP0

 ————————————————————―――――――――――――――――


「やっぱり死んだのかよ。いや転生したのか―――」









 ◆◇◆◇






「魔王様どうされました?」

「ゲートのつなげる場所をそらされたみたいだね。やっぱり直接つなげていくのは厳しいかなー」

「ではこのゲートは閉じたほうがいいのでは?」

「あっちに開いたゲートは閉じたよ。でも誰か入って来ちゃったみたいだね。かわいそうだしダンジョンを出てこれるかわからないけど、こっち側は開けといてあげよっかなって」






 ◆◇◆◇





「ん?ゲートが開いたようだな。場所はわかるか?」

「はい、おおよそは。ですがもう閉じているようです」

「構わん。急ぎ偵察に向かわせろ」







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る