第248話 パーティー組もうぜ。
オレたちは熊岱市ダンジョンの購入の資金をためるべく、2階層のボスさんを周回しようとダンジョンに向かう。
道中、コボルド5匹とスライム3匹の群れと戦闘している陽介君たちと遭遇。
弓の使い手3人パーティーの陽介君たち『ナイン・ガーデン』は当然遠距離攻撃主体だ。
昨日ダンジョン入り口の玄室で大声ポップの灰色狼を狩って全員がLv3に上がったので1階層の奥を攻略し始めたようだが、見たところちょいと苦戦気味のようだ。
どうしても弓矢は一射で一本の矢しか射ることが出来ないため、初撃で3人がワンターンkillを果たしたとしても討伐できるのは3体のみ。
敵が4体以上で現れれば、第2射よりも敵の初撃を先に受ける確率の方が高いのだ。
今この時も、3体のコボルドを屠るまでは良いが、残りのコボルド2匹、スライム3匹の接近を許し、距離を置くべく逃げ回っている。
さらに、ヘイトを集めてタゲを引き寄せる役がいないので魔物はてんでバラバラに陽介君たちに襲い掛かっており、もはや隊列も何もなく個人が自分を追ってくる魔物から逃げながら、どうにかこうにかほかのメンバーを追っている魔物に射かけるという行動を繰り返しており、
んー、ちょっとまずいかもしれないな。
熊岱市のダンジョンの管理人を任せるにあたり、管理人にはダンジョン内に危険が発生したりした時に適切に対処できる実力が求められる。
たとえば、先回の陽介君たちのように他の探索者が遭難したときには、圧倒的実力でもって速やかに迅速に救助を完遂しなければならないのだ。
いかに今は発展途上とはいえ、このままレベルだけ上がったとしてもそのような安心感を他に与えられるような実力がつくとは思えない。
そんなことを考えていると、どうにかこうにか自力で魔物を全滅させた陽介君たちがバツの悪そうな表情でこちらに目を向けた。
「いやー、お恥ずかしい。わかってたこととはいえ、やっぱり弓3人だと厳しいですね。もう数日様子を見て、自分は剣とか短槍とかの近接武器に替えようかって話してたんですよ」
「うっす。というか、あーしも斥候名乗ってるっすけど、やっぱ盗賊っすからね。アあーしが短刀かナイフに変更すればいいって兄貴に言ってんすけどねー」
「……わたしが、メイスで殴るのもありかと」
陽介君、妹の美夏さん、彼女の御園さんそれぞれが発言する。おお、御園さんの意味のある言葉を聞くのは初めてだな。
そうか、皆が皆武器を替えようと模索しているんだな。
だが、武器にはその人に会った適正というものがある。
いくら戦闘スタイルが合わないからと言って適性の合わない武器を使うのはリスクがあるんだよな。
「……ちょうどいい。ちょっと試してみたいことがあったんだ。今から少しオレたちとパーティーを組んでみないか?」
オレの試してみたいこと。というか、検証しておきたいこと。
以前、姉や
なのに、先日陽介君たちを案内しながら戦闘したときにはパーティー扱いになっておらず、陽介君たちに経験値は流れなかった。
つまりは、ダンジョン内では何をもってパーティーとして認識されるのかという事をこの機会に試しておきたい。
今後、熊岱市のダンジョンを管理したり、
ついこの前までは、多分軽トラの恩恵であると思われる『経験値大幅アップ』の件が他者にバレるのを鑑みて陽介君たちにも黙っていたのだが、もはや陽介君たちは熊岱市のダンジョンの管理を任せる、いわば仲間内になることが確定している。
ならば、レベル上げの促成栽培も含め、この秘密は共有するべきだろう。
「ところで陽介君、パーティーってどうやって組めばいいのか知ってる?」
「そういえば、意識した事ありませんでしたね。
良かった。知らないのはオレだけじゃなかったようだ。
また残念なポンコツ扱いされるかと思ってひやひやしたぜ。ふう。
「んー、やっぱ肉体関係必要なんすかねー」
おいおい、美夏さんよ。それって兄妹間でいたしたってこと?!
「それを言うなら血縁関係も含めてだろ! 誤解されちゃうじゃないか!」
おっと、陽介君が顔を赤くしてフォローしてるぞ。
爛れた薄い本のような展開にならなくてよかったよ。
でも、それだと陽介君と御園さんはゲフンゲフン。まあ、20歳越えてるんだしカップルなんだし、今のご時世それが普通か。
「そうですね。それならばわたしと美剣ちゃん、そしてお義姉さまや梢ちゃん、蒼くんも当てはまりますしね」
マナミサンの発言に陽介君たち3人が顔を赤くする。
しまった! この展開だとオレがマナミサンと美剣両方に手を出していることを肯定しているようなもんじゃないかー!
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