第7話 慰めてあげようと思って?
「ただいまぁ〜?」
恐る恐る表門を抜けて、そ〜っと玄関を開け
、覗き込む。
よしっ、流石に、誰もいないな。
悪いことをしているような、ドキドキ感が悩ましい。
先ずは、両親へ報告だよね。
居間には居なかったので、階段を上がり両親の寝室へと向かって、ドアの前で深呼吸してからノックしてみた。
「開いてるぞ、入れ。」
父の声に、深く息を吐き出してからドアを開けて中に入り、
「不合格でした。申し訳ありません。」
「……………………そうか、また来年も有る。これからの事は、明日の夜にでも話そう。
相談には乗るから、お前の思うように考えてまとめておくように。
さあ、『皆が』待っていたんだからお前が呼んでこい。母さんは中庭に居るぞ。他の者は、自室に居るからな。皆食事もとらずに待っていたんだぞ。私も、ダイニングで待っているからな。」
「はい、ご心配をおかけしました。直ぐに呼んできます。」
長兄には、今日の沙友理さんとの事もあり顔を合わせるのが辛かったが、父と同じ様なあっさりとした対応での気遣いが有り難い。
この兄が、沙友理さんと浮気公認の婚約をしていると思うと……………………
「お兄ぃっ、おっそ〜いっ!」
次兄の部屋のドアをノックしようとしていると、待ち構えていたのか遥香から肩を叩かれた。
「あ〜、悪かった。ダイニングで待っててくれ。僕も着替えたらすぐ行くから。」
「うんっ、待ってるね〜!」
ニコニコ顔で、何か意味有りげな様子で階段を降りていく妹の遥香。
何だろうと思いながら、ノックした次兄の部屋のドアを開け、
「……………………帰りました。不合格でした。」
仕事でもしていたのか、机に向かっていた椅子から立ち上がり振り向いた兄が、
「そう?残念だったね。まあ、来年もあるさ、父さんとはもう話したのかな?」
「はい、これからの事は明日相談してくれるそうです。皆がダイニングで待っていますので、早めにお願いします。」
「わかった、克也も直ぐに来るんだぞ。」
母さんを呼ぶのは着替えてからだなと思いながら、自室のドアを開けて、固まってしまった。
「……………………何で、お前が、此処に、居るんだよ!」
「あら、お母さんに頼んだら許可くれたわよ?」
ベッドの前にいたのは、全裸で仁王立ちする、由香里だった。
「全裸で待つ許可なんか出る訳無いだろ!なんで、また……………………」
「ん、慰めてあげようと思って?」
さっきの、遥香の、意味有りげな態度は、これを知っていたからか!
背後に気配を感じて振り向くと、遥香が部屋を覗き込んでいて、
「あら〜、由香里〜、大胆ね〜?」
「……………………お前ら!いいかげんなことをするな!」
「は〜い、じゃ、お兄っ、由香里っ、私は先に行ってるね〜、」
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