第642話
「ふぅ・・・」
クロードは本社にと戻ってきた。
「思ったより時間がかかったの」
そう言って出迎えてくれたのは天照大神と月詠だ。
「体に違和感がありますね」
全盛期の頃の力と比べればどうしても見劣りしてしまう。
「今日はもう休んだ方がいいでしょう」
神殺しの権能で奪った阿修羅の妖気と神力が体で暴れまわっていた。
「そうさせてもらいます」
体調に不安があるときは寝るのが一番いいのは神も人も変わらない。
自分の部屋に戻ったクロードはそのまま眠りについた。
力のバランスは寝ている間にクロがなんとかしてくれるだろう。
翌日、いつも通りに目を覚ます。
まだ、完璧ではないにしろ力の調和が見て取れる。
クロードは目覚めのお茶を飲んでから体を動かすために部屋を出る。
鍛錬上では多くの者が自主鍛錬に励んでいた。
クロードはその中に混じりまずは走り込みをする。
ただ、走るのではない。
神力と疑似神力、魔力を使って自己強化しながら走る。
体は悲鳴をあげているがその程度で壊れる体ではない。
ぎりぎりを見極めながら体をいじめぬく。
限界に達したところで休み休憩を挟む。
普通に休憩をするのではなく体に治癒力を高める魔法をかけながらだ。
本来であれば数日かけて行う筋トレと自己修復を短時間で済ませる荒業だ。
走り込みをある程度こなして次の工程に入る。
剣を持ち型をなぞる。
これは神としての記憶を取り戻したことにより思い出した技をなぞる形だ。
剣の動きは別に早くない。
だが、その動きは戦いに特化している。
1つ1つの技が致死であり必殺の威力を秘めている。
いつの間にか周囲で鍛錬していた者達がクロードだけを見ている。
だが、クロードがそれに気づくことはない。
それだけ精神を集中させているのだ。
動きを止める。
それだけで大粒の汗が滴り落ちてくる。
だが、クロードが動きを止めることはない。
流れるように剣を出し、時に回避し自分の作り出した仮想敵との演武を続ける。
どれだけの時間が経っただろうか。
それぐらい長い時間クロードは動き続けた。
クロードが動きを止めた時、パチパチパチと拍手が聞こえる。
音の正体を見れば武御雷であった。
「非常に貴重な物を見せていただいた」
武神である武御雷からすればそれほど価値のある物であった。
「勝負でもしますか」
「いや、やめておこう。自分ではもう相手をするのは難しいだろう」
一部であるが神としての力を取り戻したクロードは武神、武御雷ですらそう思うほどに強くなっていた。
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