第640話
「まさか、力と一緒に記憶も封印していたとわね」
「人として生活するのに神としての記憶は邪魔でしたからね」
全ての記憶を取り戻したわけではないがそれでも神としての自覚が生まれた。
「さて、他の力もといいたいところですがこれ以上受け入れればこの体が崩壊してしまう」
「なら、その体を強化するしかないわね」
「そうですね」
体を強化するには強い者を倒せばいい。
おあつらえ向きにその相手には困らなそうだ。
「あらあら、聡い妖怪は貴方の存在に気付いたようね」
「そのようですね」
本社に物凄い気配を放つ者が向かってきていた。
危険指定されているその者は強者との戦いに飢えていた。
その名は阿修羅。
元々は神に属する存在であるが天界を追放され修羅界を形成した経緯がある。
戦いを好み常に強者を求め弱いには見向きもしない。
「クロード。主はこやつに勝てるかの」
「手加減するのは難しそうですね」
神としての全ての力を取り戻したわけではない今現在、阿修羅との戦いはぎりぎりになるだろう。
そして阿修羅がその姿をみせた。
「我、強者との戦いを臨む者なり」
阿修羅がそういうと世界を移動する感じがした。
それは間違いではない。
修羅界に引きずり込まれたのだ。
これはクロードとしてもありがたい。
全力を出せばせっかく神力や魔力を回収した地球に再び膨大な神力と魔力をばら撒くことになってしまう。
クロードは神力を放出し修羅界を手中に収めるべく介入する。
「ふはは。人のようで人でない。この時代で神と戦えるとはなんと幸運な」
阿修羅はそう笑いながら恐ろしいスピードで突っ込んでくる。
クロードは紙一重でそれを回避する。
しかし、その衝撃はすさまじく木の葉のように体がくるくると吹き飛ばされる。
それを魔力で作り出した翼で制御し剣を構える。
剣と拳が高速でぶつかり合う。
どちらも必殺の一撃が乗っており当たれば無事ではすまないだろう。
神としての記憶を取り戻す前のクロードであれば対抗さえ難しい。
だが、クロードは冷静に阿修羅の攻撃を受けながら経験を急速に積んでいく。
力対力だったのがいつの間にか力対技術になっていく。
クロードは阿修羅の攻撃を逸らし体勢を崩させる。
その隙に致死の剣を振るう。
その剣は阿修羅に直撃するが軽く肉を抉る程度に終わった。
だが、その程度で十分だった。
一撃当てたことで確実にダメージを与える。
少しずつ形勢はクロードに傾いていった。
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