第603話
クロードは予定通りに筆記試験を受けていた。
問題は初等部3年の問題を逸脱しており高等部の物まで含まれているが試験時間を大きく残して全て記入済みだ。
念のために見直してみたが問題ないことを確認してそのまま提出した。
時間の出来たクロードはハイエルフ3人組に会うためにポセイドスから譲られた王都邸を訪れていた。
「やぁ。クロード」
「問題なく過ごしていますか」
「食事には不満があるけれど他は快適に過ごしているよ」
クロードの料理に慣れてしまったイフが食事に不満を述べている以外は問題ないようだ。
「ダンジョンの方はどうですか」
「今、順次疲労している精霊を入れ替えているところだよ」
「何か所かまずそうなところがあるがそれは現地の住民に頑張ってもらうしかないね」
クロードとしても被害が出そうな場所を全てまわるのは不可能だ。
「一応、注意喚起しておきますね」
とは言え、今のうちに対策をするようにすれば被害は大きく減らせるだろう。
クロードは問題がないことを確認してそのまま王宮へと向かった。
応接室に通されそのまましばらく待つ。
「待たせてすまぬな」
宰相であるリッチマンを連れて国王陛下であるポセイドスがやってくる。
「いえ、突然の訪問申し訳ありません」
国王や宰相に事前の約束もなく訪ねられる方がおかしいのだ。
「それで何か話があるのだろう」
「はい。ハイエルフ達から何か所か危ういダンジョンがあると話を聞きまして」
「なるほど。今から準備すれば被害を減らすことが可能か」
クロードは国内だけでなく国外でも危ない地域を報告した。
「国内はそれとなく兵士を派遣しよう。しかし、国外に関してはどうしたものか」
「冒険者組合に情報を流せばいいかと」
「信憑性を問われると思うが・・・」
「確かに最初はそうでしょうが、回数が増えれば信じるしかないでしょう」
「そういうものか」
「そういうものです」
情報を出しても最初から信じられるとは思っていない。
とはいえ、冒険者組合は無能ではないので調査ぐらいはすぐにするだろう。
「ところで、陛下。昨日エリーゼから聞いたのですが囮にされたそうですね」
「儂は指示してないんだ。一部の馬鹿がやらかした」
まぁ、そうだろう。
普通に娘を囮にするとかありえない。
「それで、その者達は・・・」
「うむ。既に閑職にまわした。それで勘弁してやってくれ」
陛下にそう言われては従うしかない。
っち。
命拾いしたな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます