第549話

時の精霊の罠を囮に使い、何度もイフリートの憑依したドラゴンに攻撃を当てている。


傷はつけど動きが悪くなることはなく、むしろ先ほどよりも動きが良くなっている気がする。


「クロード。外側をいくら斬っても意味はない。精霊の目でよく見てごらん」


「ちょっと待てぇ。イフ。それはないんじゃないか」


「うるさいよ。こんなの試験の域を超えているだろう。このバトルジャンキーが」


イフに言われて改めて精霊の目でイフリートの憑依したドラゴンを見てみる。


物凄い気の流れが渦巻いており循環している。


なるほど。


あの流れを阻害してやればいいわけか。


改めてフェイルノートに持ち替え水の精霊に宿ってもらい矢を次々と放つ。


先ほどは弾かれた矢であったが切り刻まれた部分に矢が次々と吸い込まれていく。


そして、矢は少しずつイフリートの気の流れを阻害し動きが鈍っていく。


それでも矢を撃つ手を休めずイフリートの憑依したドラゴンはまるでハリネズミのようになってしまった。


矢が重かったのだろうかいつのまにイフリートの憑依したドラゴンは地上に落ちてきていた。


「ふぅ。これでようやっとまともな勝負になりますね」


「ぐぬぬ。地上に落としたぐらいでいい気になるなよ」


イフリートの気がどんどん高まっていき山ほど浴びせかけた矢が吹き飛ぶ。


クロードが突っ込もうとしたその時、眩い光が突如割り込んできた。


「はーい。ストップ」


それは4大精霊の1人であるウィンディーネだった。


「イフリート。やりすぎよ。精霊王様が戻ってくるようにって」


「っち。つまらぬ。これからというところで」


「素直に戻らないなら私が相手になるわよ」


「わ、わかった・・・。ほれ、これを受け取るといい」


そう言ってイフリートは一振りの剣を渡してくる。


これは500層のドラゴンを討伐すると低確率で落とすドラゴンスレイヤーだ。


しかし、ただのドラゴンスレイヤーではないらしい。


「儂の気をこめておいたからの。大事に使うといい」


どうやらイフリートの祝福付きらしい。


「はぁ・・・。一時はどうなるかと思ったけどこれで試験はクリアーね」


「そうですね。しかし、少し疲れました」


「もう少し頑張って休むのに丁度よい場所があるから」


500層は中心にフィールドボスのいるエリアが広がっているがその外周部は別世界となっている。


ハイエルフ達が住まう領域が広がっているのだ。


イフの案内で通路を抜けハイエルフ達の住まう領域へと足を踏み入れた。

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