第512話
クロードは新たな目標を元に世界樹を登っていた。
現在いる場所は世界樹150層である。
登るに際してステータス的には何の問題もないのだがフロア中の魔物を倒しても精霊達を全員上位精霊に成長させるためには全然足りずどうしたものかと頭を抱えていた。
そして、問題になるのはここまで酷使してきた剣である。
達人級の剣の腕によって負荷は最低限に収めているし鍛冶師としても優れたクロードは手入れをしっかりしているがそれでも使い続けたことによる消耗は抑えきれる物ではない。
他の手持ちの武器に精霊達に宿れるか聞いたところ転生時にもらった武器では精霊達の格が足りず、かといって量産された武器では波長が合わず能力が著しく低下するとのことだった。
ここでクロードは一つの決断をした。
このまま、使い続ければ本当に剣が使い物にならない状態になってしまう。
ならば、父であるファイネルから贈られた剣をベースに他の金属と混ぜ補強するしかないだろう。
そもそも、品質が良かったとはいえ子供の頃に送られた剣をここまで使い続けられたことが奇跡に近かったのだ。
失敗する可能性もあるがクロードには成功する自信があった。
安全地帯で鍛冶の道具を取り出し作業に入る。
剣を熱し一度ドロドロにする。
そしてミスリルとオリハルコンを加え鍛錬する。
勿体ない気もするが精霊達が少しでも波長を合わせやすいように水ではなく世界樹の雫を貯めたプールに剣をつけ冷やし再び火入れする。
ひたすらに作業を続けクロードが作業を終えたのは3日程経った時だった。
精霊達はそんなクロードの様子を静かに見守っており完成の声を聞いて一斉に集まっていく。
出来上がった剣はベースに贈られた剣を使ったがもはや別物であった。
だが、見た目は別物でも贈られた剣をベースにしたことで宿っていた武器精霊の魂は健在だった。
精霊達に聞いたところ、以前の剣よりも力を引き出せるとのことだった。
これは、魔法との親和性の高いミスリルを使ったことと贅沢に使った世界樹の雫の効果であると思われる。
結果に満足したクロードはそのまま眠りについた。
夢中になるとすぐに無茶をするのは幼いころから変わらず年齢のことを考えれば年相応ということなのかもしれない。
そんなクロードの様子を精霊達は温かく見守りつつも誰が最初に宿るのか順番を争い論争をしているのだった。
最後は精霊魔法を使った争いになりかけたがクロードに付き添う精霊達では最古参の精霊達により阻止されるのだがクロードは知る由もなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます