第494話

幼い精霊達はクロードが食事を終えると遊んでくれたお礼をしてくれると言い出した。


幼い精霊達の先導の元、森を歩いていくと次々と貴重な薬草や珍しい果物の木が見つかった。


クロードはシルフィーのお言葉に甘えてそれらを次々と採取していく。


採取の過程で碧色の幼い精霊や赤い精霊に茶色の精霊などは当然として黒や黄色などの幼い精霊とも出会うことが出来た。


黒い幼い精霊は闇属性の黄色は雷属性の精霊らしくエルフには存在を感じてもらえず寂しい思いをしていたらしい。


クロードは他にもそんな精霊がいるのではないかと思い採取を続けながら1層中を周り様々な幼い精霊と交流をすることが出来た。


幼い精霊達はずっとクロードの後を追いかけてきていたが1層から2層に移動するのは難しいらしく精霊の泉でお別れ会をすることになった。


クロードはアイテムボックスからギターを取り出し奏で幼い精霊達はそれに合わせて空中をぐるぐると回っている。


それはまるで光のダンスを見ているようだった。


曲が終わると幼い精霊達はクロードにお礼を言ってそれぞれ散っていった。




「ふふふ。あそこまで色々な幼い精霊達を集めてくるとは思いませんでした」


いつの間にか水の上級精霊であるアクアがこちらを見ておりそういって笑っている。


「幼い精霊達は楽しんでくれたでしょうか」


「それはもう。長年、この階層から抜け出せなかった子も貴方のおかげで次の段階に進めることでしょう」


「それならいいのですが」


「お疲れでしょう。ここならゆっくりと休めると思いますから眠ってから次の階層を目指すといいでしょう」


「ありがとうございます。そうさせてもらいますね」


クロードはそういって横になりすぐに寝息をたてはじめた。




アクアはクロードを見守りつつも精霊のネットワークを経由してウンディーネに報告をしていた。


『もしもし、ウンディーネ様ですか』


『あら、アクアじゃない』


『彼は凄いですよ。1層にいる全ての属性の幼精霊を集めてきました』


『それは本当なの』


『えぇ。先ほどまで音楽を奏でていて幼精霊達は狂喜乱舞していましたわ』


『それだけ活性化させてくれるなら眠っている精霊も起きるかもしれないわね』


あまりにも適性者が少ない属性の上級精霊は休眠状態の者も多い。


それが起きてくるかもしれないのだ。


精霊界にとってそれはとても大切なことなのである。


休眠状態の精霊が増えればそれだけ世界に干渉する力が落ちるということなのだから。


干渉する力が落ちればそれだけ様々な場面で世界のバグとも言える現象が起きやすくなるのだった。

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