第475話 その頃、エリーゼは・・・2
「とにかく出来てしまったものは仕方ないわ。私は叔父様に事態の説明をしてくるわ」
「いってらっしゃいませ」
そういってエリーゼは理事長室に向かうのだった。
その頃、学園の空き地で自主練をしていた生徒の一人が偶然ダンジョンの出来る場面に立ち会ってしまい混乱していた。
突然出来た地下へと続くと思われる階段に恐る恐る近づいていく。
危険はなさそうだと判断して階段を降りていく。
下りた先は左右に小部屋があり中央が通路となっている。
中央の通路を進むと棍棒を持った小鬼が襲いかかってくる。
見たこともない魔物を前に生徒は脱兎のごとく逃げ出したのだった。
エリーゼは理事長室に到着するとノックをする。
中からの返答を待ち入室する。
「叔父様。失礼します」
「エリーゼか。君が来るとは珍しいね」
エリーゼは実を言うと理事長であるサイネルのことが苦手であった。
父であるポセイドスが王位を継がなければ国王に即位していたであろう人物でありその手腕は見事としか言いようがない。
サイネル自身はそんな気はないが勘違いをした貴族が謀反を企み神輿として担ぎ出そうとした際、踊らされてるように見せかけ貴族を破滅に追い込んだこともある。
そんな冷徹な一面を持っている上にエリーゼをはじめポセイドスの子供達には常に厳しく接してきていた。
だが、嫌っているのではなくポセイドスが甘やかすので嫌われ役を買って出ていただけなのだが。
「叔父様。問題が発生しました。この学園にダンジョンが出来てしまったのです」
「む。どういうことかな」
「先ほどの地揺れですが神が戯れにダンジョンを作ったのが原因です」
「神といきなり言われてもね」
エリーゼはポケットから宝玉を取り出して牛鬼に語りかける。
「ちょっと、牛鬼さん。出てきてください」
宝玉が光ったと思ったら牛鬼が現れる。
「む。先ほどの説明では不足だっただろうか」
サイネルはいきなりのことで驚くがポーカーフェイスで乗り切る。
「そちらの・・・。えっと、牛鬼殿とエリーゼの関係を聞いてもいいかな」
「とある方よりエリーゼ嬢の護衛を任されております」
「なるほど。なるほど。詳しく聞きたいところではあるけれどダンジョンを作ったというのは本当なのかな」
「うむ。学園にダンジョンが出来れば生徒達の修練に役立つこと間違いなしである」
「それは・・・。お礼を言うべき部分なのかな」
「叔父様。気持ちはわかりますが対策を先に済ませるべきでは」
「そうだね。生徒が迷い込んだら大変だ」
その時、既に生徒が興味本位で入り込み教員に報告がなされていたのであった。
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