第466話
クロードは市場で必要な食料を買い集めてからエリーゼに向けて手紙をしたためる。
アイナさんに伝言を頼むのも手だったが長期間会えなくなることを考えるとこちらの方がいいと考えたのだ。
書きあがった手紙をアイナさんに託してクロードはドラゴニア王国へと転移魔法で飛んだ。
ここから先はグリフォンに騎乗して空路をいくことになる。
クロードは修行の旅に出る条件として諜報部の長から密命を帯びていた。
密偵達の多くはシンラ帝国に集中配備されているがドラゴニア王国の西方方面の国々にも少数であるが配備されており彼等への指令書と活動資金の運搬を頼まれたのである。
また、一人旅で野営はクロードと言えど厳しいものがあるため極力村や街に立ち寄り疲れを十分癒す必要があるため承諾した背景がある。
そんな感じで立ち寄った一つ目の街で宿を確保した後は密偵と接触する為に行動を起こした。
この街の密偵は酒場を経営しておりそこにお酒の搬入を装って接触を図る。
「すみません。お酒の配達に来ました」
「見ない顔だな。少し待ってくれ」
店主は訝し気にしつつも相手をしてくれる。
「はて。酒はどこだ」
「アイテムボックス持ちでして。どこに出せばいいですか」
「それなら奥の倉庫に頼む」
「わかりました」
店主の案内で倉庫にお酒を出していく。
合図としては大量の酒類にゲルマン王家御用達のお酒を1本だけ混ぜるだけだ。
「お前、ゲルマン王国の手のものか」
「ええ、西の方に少し用事がありまして」
クロードは頼まれていた指令書と活動資金を店主に渡す。
「遠路はるばるすまないな。確かに受け取ったぜ」
「少しお尋ねしたいのですがこの国はどんな感じですか」
「そうだな。この国に関して言えば魔物の被害が増えて兵士達は大忙しだ。他国にちょっかいを出す余裕はないな」
「情報感謝します」
「これからお前さんはどうする」
「宿を取っているので今日は疲れを癒して明日には旅を続けますよ」
「そうか。ここから西は小国が続く。気を付けていけよ」
「忠告痛み入ります。それでは」
クロードは酒場を後にして宿屋に戻るのだった。
クロードが去った酒場では店主と3人の男が話し合いをしていた。
彼等はこの国に潜んでいる密偵達だ。
この酒場の倉庫には隠し部屋がありクロードと店主の話し合いを盗み聞いていたのである。
「あんな小僧が運搬役とは国で何かあったのか」
「いや、そうではないらしい」
店主は届けられた指令書を読んで否定する。
「それよりも新しい仕事だ。これから忙しくなるぞ」
「はいはい。馬車馬のごとく働きますとも」
3人の男達は指令書に従い動き出すのだった。
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