第424話

クロードはエリーゼを庇いガラの悪い男二人組を相手に戦闘態勢を取っていた。


「おいおい。餓鬼だからって手加減しないぜ」


「それはこちらのセリフです。エリーゼに手を出そうなんて100年早いってことを教えてあげましょう」


相手の一人が殴りかかってくるがそれを掌で受け止める。


「軽い拳ですね。パンチとはこういうものを言うんですよ」


そういって手加減したパンチをおみまいする。


かなり手加減したつもりだったが相手は大きく吹き飛んでしまう。


「てめぇ。やりやがったな」


そう言って残った方はナイフを取り出して突っ込んでくる。


避ければエリーゼにあたってしまうためクロードは刃の部分を指でつまみ受け止める。


「まったく。街中で刃物なんて危ないじゃないですか」


相手の顔を見れば驚愕している。


クロードはナイフを持っている手を蹴り上げてナイフを奪い取る。


「さて質問です。ナイフを振り回した貴方はどうなるでしょうか」


「クソ。こうなりゃ自棄だ」


そういって男は殴りかかってくるがカウンターで顔に一撃入れる。


男は脳震盪を起こしたようでダウンしてしまった。


「やれやれ。せっかくのデートだというのに無粋な邪魔が入りましたね」


「クロード相手に喧嘩を売るなんて可哀想な人達ね」


騒ぎを聞きつけたのか衛兵がやってくる。


「騒ぎを起こしているのはどこのどいつだ」


周辺の野次馬はクロードとガラの悪い男二人を指している。


「倒れてるのはこいつらか。まったく問題ばかり起こしやがって」


そういって倒れている二人を捕縛しはじめる。


しかしそれだけではなくクロードの方にも何人か衛兵がやってくる。


「あいつらをやったのは君か」


「突然殴りかかってきたので正当防衛ですよ」


「あいつらならやりかねんが暴力はいかんよ。詳しい話を聞きたいからついてきてくれないか」


一人ならついていってもいいのだがエリーゼとのデート中であるクロードは懐から一つの徽章を取り出す。


それを見た衛兵は態度が一変する。


「失礼いたしました」


クロードが取り出した徽章にはプロミネンス侯爵家の家紋が刻まれていたのである。


「後は任せましたよ」


「はっ。それでは我々は失礼します」


そういって衛兵達はクロードの倒した二人組を担いで去っていった。


「エリーゼ。場所を移動しましょうか」


衛兵が素直に引き下がったことで周囲の空気が明らかに変わっていた。


こんな状況ではゆっくり休めないため場所を移すことにしたのである。


クロードとエリーゼが広場を去ると見守っていた野次馬達も散っていった。

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