第408話

ファフニールとネツァルがお酒を飲んでいるとブリュンヒルトが近づいていく。


「相席してもいいかしら」


「仕事はいいのか」


「知り合いがいるなら上がってもいいと言われたのよ」


「美人と飲めるなら歓迎じゃ」


ファフニールは嫌そうな顔をしていたがネツァルが席を勧める。


「はぁ・・・。神々とはなるべく関わり合いたくないんじゃがな」


「私もできることなら天界に帰りたいわよ」


「ぬしが派遣されておるのはクロード絡みか」


「アリア様の命令でね」


「あの生真面目な女神様か」


「貴方だって気づいてるんでしょ。ロキが色々現世にちょっかいをかけているのは」


「存じておるよ。それをどうにかしようとかは思わんがな」


「オーディン様もこの状況は楽しんでおられるわ」


「奴の言いそうな事じゃの。戦争と死を司る奴にとっては歓迎というわけか」


「人は争いの中で成長するもの。その考え方には私も賛成だけどね」


「抵抗できる国々はいいじゃろうがそうでない国は切り捨てか」


「どうしようもなくなったらエインヘリャルを派遣するんじゃないかしら」


「戦死した勇者達か・・・。確かに戦力としては申し分ないが色々問題がおきそうじゃの」


「英雄色を好むというものね。彼等の性格を考えると頭が痛いわ」


そういってブリュンヒルトはお酒を一気に飲み干す。


「良い飲みっぷりじゃの。ほれもう1杯」


そういってネツァルはスパークリングワインをワイングラスに注ぐ。


「ありがとう。ところで二人はどういう関係なの」


「若い頃、二人でパーティーを組んでいたことがあっての」


「ネツァルは人にしては優秀だったからな。色々素材を集めるのを手伝ってもらっておったのじゃ」


「儂のほうも色々研究できて大助かりじゃったよ」


「似た者同士だったのね」


「儂も気になっておったのじゃが、ネツァルよ。この国に深く関わっているようじゃがどういう心境の変化じゃ」


「儂ももう歳じゃ。後継者を育てようと思っての。それに研究の為の素材を優先してまわしてくれる。居心地がよくてのう」


「この国には限定的じゃが転移門があるらしいな」


「基礎を固めたのは儂じゃが、どうしても転移距離を解決できなくてな。それを解決したのはクロードじゃ」


「転移門ねぇ。神界だと普通に存在しているけれど人間がそれを模倣したのは凄いことね」


「クロードには魔水晶とそれを作る魔法陣を伝授した。転移距離はもっと伸びるかもしれんの」


「儂に教えてくれてもよかったんじゃないのか」


「お主は確かに人としては優秀じゃ。じゃが、神々の領域の技術に手を出すのはお勧めせんよ」


「そんなことを言わずに・・・。と思ったがお主の真剣な顔を見たら諦めるしかないのう」


3人は閉店時間まで酒を飲みつつ話を続けるのだった。

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