第406話
学園に戻ってきたクロードはファフニールの指導の元、鍛冶場に籠っていた。
クロードが演習に行っている間に見本の武器を打っていたらしくどれも素晴らしい出来だった。
クロードは目標とする武器を何度も確かめ武器の鍛錬を行っていく。
ファフニールが打った物とは比べ物にならないぐらいお粗末な結果ではあるがクロードは音をあげることなく集中して鍛冶に取り組んでいた。
ファフニールはただ黙ってクロードを見守っていた。
鍛冶の技術とは己自身で身に着けるしかない。
手取り足取り教えたのでは本当の神髄には決してたどり着けない。
それに、クロードは凄まじい勢いで鍛冶技術を吸収しつつある。
自分を超えるのは難しいだろうが人の世界でやっていくには十分な技術を身に着けることは可能だろう。
そう思っていたがクロードはそんな予想を裏切り1本の剣を完成させた。
荒い部分は勿論ある。
それでも自分が打った剣よりも光る物を感じる。
「クロード。よくやったな。儂が教えることはもうないかもしれないな」
「ありがとうございます。でも偶然かもしれませんし、自分はまだまだ未熟です」
悔しさは勿論ある。
自分は世界一の鍛冶屋である自負もあったのだ。
しかし、それ以上に弟子の成長というのは喜ばしいものだ。
クロードはその後も何回も剣を打ち続けていた。
最高の1本には届かないものの打つごとに粗さはなくなりクロードの鍛冶技術は完成されていく。
「ふむ。鍛冶技術は十分だろう。魔水晶の作成方法を教えよう」
「はい」
ファフニールは巨大な紙を取り出し自分の指を少し切って血で神代文字を刻んでゆく。
「これは神代文字ですか」
「そうじゃ。魔水晶とは失われた神々の技術を利用して核になる水晶に魔石の魔力を丁寧に移すことで完成する」
「核となる水晶はどこにでもありそうな感じですが」
「水晶は魔道具に使う属性魔法を込める物で大丈夫じゃ」
ファフニールは説明のために止めていた手を動かし魔法陣を完成させる。
そして一定の間隔で大きめの魔石を設置していく。
「使う魔石は最低でもこれぐらいの純度のものを使うのじゃぞ」
説明を続けつつも魔法陣に手をつけて自身の魔力を魔法陣に流し込む。
すると魔法陣は光りだし魔石から魔力を抜き取りそれが水晶に吸い込まれていく。
「後は待つだけじゃ。意外と簡単だったじゃろ」
「神代文字を使う時点で簡単じゃないですよ」
「難しいことはない。お主ならこれぐらいなら簡単に覚えられる」
時間が経ち魔水晶は完全に安定している。
魔水晶は膨大な魔力を秘めており暴走すれば大規模な魔法災害にも繋がるが一度安定してしまえばその可能性は低い。
ファフニールは実践あるのみとクロードに魔水晶作りをさせるのだった。
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