第361話
「ふっふ。よく寝ておるのう」
龍脈を守る神はクロードに膝枕をしながら見守っていたが表情を一変させる。
「それでいつまでそこに隠れておるつもりじゃ」
「おや、ばれてしまいましたか」
陰陽師の格好をした男が出てくる。
「隠すつもりもないのによくいうのう」
「せっかく龍脈を暴走させる為の手を打ったというのにこれではね」
「陰陽師の格好をしておるが貴様ロキの手のものだろう。魔界の匂いがプンプンしておるぞ」
「その餓鬼は邪魔ですね」
「ほう。手を出すというのなら容赦せぬぞ」
「あはは。やめておきますよ。ここで貴方と戦っても勝ち目がない」
「ふん。力関係はわかっておるようじゃの」
「その餓鬼が起きたら伝えてください。連れの女は預かったと」
「正攻法で勝てぬから絡め手か。卑怯者め」
「何と言われようと結構です。結果が出せればいいのですよ。鬼山でお待ちしておりますよ」
男はそれだけいって去っていった。
「やれやれ。問題が片付いたと思ったら新たな問題か。難儀なことよの」
鬼山は鬼が闊歩している山型のダンジョンだ。
そこに囚われたというのなら助けるのは困難を極めるだろう。
助けてやりたい気持ちもあるが龍脈の制御をしなければならないため一緒についていってやることは出来ない。
龍脈の浄化は済んだが荒れ狂うままに龍脈を放置すればそれは災害と変わらぬ脅威をこの国の人々に与えることとなるからだ。
今はクロードをゆっくり休ませてやることぐらいしか出来なかったのである。
「うん・・・。ここは・・・」
「クロード。起きたか」
「おはようございます」
「ここは我の住処じゃ。龍脈の浄化を終わらせたお主は疲れ果てて眠っておったのだ」
「そうでしたね」
「厄介ごとに巻き込んで悪かったな。じゃが、悪い知らせがある」
「悪い知らせですか」
「お主の連れがロキの手の者に攫われたようじゃ」
「エリーゼが」
「奴は鬼山で待つといっておった」
「情報感謝します」
「すぐ発つつもりか」
「放ってはおけませんから」
「それならば餞別だ。これを持っていくといい」
龍脈を守る神が取り出したのは勾玉のついた首飾りだった。
「首飾りですか」
「これは龍脈の力が結晶化したものだ。所有者の能力を引き上げてくれる力がある」
「ありがとうございます」
クロードは早速勾玉のついた首飾りを装着する。
「これぐらいしか出来ぬが無事に帰ってくるのだぞ」
「それでは行ってきます」
クロードは転移魔法で外へと飛ぶとグリフォンを呼び出して鬼山を目指すのだった。
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