第358話

少女に変装したクロードは手配してもらった竜殺しの酒と共にガタゴトと揺れる牛車で生贄の祭壇へと運ばれていた。


時刻は夕刻であり生贄の祭壇に到着するのは夜になりそうだ。


戦闘をするのに夜という時間は視界が制限されるので向かないが今回は酒に酔わせて眠らせる作戦なので問題はない。


そんなことを考えていると生贄の祭壇についたようで牛車から降りて生贄の祭壇へと向かう。


竜殺しの酒はついてきた人達が運んでくれたので後は八岐大蛇の到着を待つだけだ。


ついてきた人々は結果を見守るために少し離れた場所で待機している。


することもなく星空を眺めていると山のほうから何かが這ってくる音が聞こえる。


音の方に視線を移せば8首の竜が向かってくるところだった。


あれが八岐大蛇だろう。


殺気を出さぬように気を付けて八岐大蛇の到着を待つ。


八岐大蛇は生贄の祭壇に到着するとクロードの姿を確認しつつ用意された竜殺しの酒の匂いを嗅ぎ全ての頭が竜殺しの酒に頭を突っ込み飲みはじめる。


竜殺しの酒を飲み干した八岐大蛇の頭は全て地べたに這いつくばり眠りはじめる。


ここまでくれば後は頭を切断するだけである。


クロードはクイックで刀を取り出し一つ一つ頭を切断していった。


頭を全て切断しても八岐大蛇の体が残ったままだ。


クロードは胴体を何度も斬りつける。


ここで予想外の事態が起きる。


「痛い。痛い。そう何度も斬りつけるでない」


胴体の部分が光に包まれたと思ったら一人の美女が姿を現した。


クロードは警戒しつつ誰何をする。


「貴方は一体・・・」


「我は龍脈を守る神であるぞ」


「神が存在しているのは存じていますが神がなんで暴れまわる八岐大蛇なんかに」


「それは信仰が薄れ人間達の欲で汚された結果じゃ。主が汚れの象徴である頭部を切り離してくれたおかげで元の姿に戻れたのじゃ」


「それはわかりましたがどう説明すればよいのか困りましたね」


「この地を治める一族には我の血が流れておる。我が直接説明しよう」


「わかりました」


こうして龍脈を守る神と共に都に戻ることとなった。


ついてきた人々は最初は反対していたが神がステータスを開示すると頭を下げて従ったのである。




御所に戻ってきたクロードと龍脈を守る神は上皇の到着を待っていた。


そこに足音荒く上皇が現れる。


「無事問題は解決したと聞いたがなんじゃこの女は」


「我は龍脈を守る神である。お主たちの一族の始祖でもあるんじゃがな」


「始祖様を語るなど言語道断だ」


そこに結末を見届けた者の一人が慌てて上皇に説明をはじめるのだった。

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