第291話

時間はかかったがクロード達は無事に二層に繋がる安全地帯に到着していた。


「ふぅ。ようやっと一息つけるな」


「最初はどうなるかとヒヤヒヤさせられたが何とかなるものだな」


「何はともあれ食事にしよう」


ハバロフと取り巻き達はここまでの戦闘で疲れたのかノロノロとした動作で食事の準備をはじめる。


鍋に生活魔法で水を出し加熱していく。


沸騰したところで学園から支給されている携帯食料の粉末を混ぜスープの完成だ。


後は日持ちを良くするために固めに焼かれたパンである。


ハバロフの取り巻きの一人がボソッとつぶやく。


「ちゃんとした食事がとりたい」


「あ~。お前らは今の携行食しか知らないから仕方ないと思うが昔の携行食料はまずかったんだぜ」


「お腹は膨れるけど味は酷かったわね」


「今の携行食料ってプロミネンス侯爵領が発祥の地らしいわね」


「昔の携行食料を食べたくなくて開発した経緯があります」


「その口ぶりだとクロード君がかかわっているのかしら」


「屋敷の料理長に無理を言って協力してもらって試行錯誤の末に出来たのが今の携行食料です」


「これはクロード君に感謝しないといけないわね」




食事も終わり十分な休憩を取った後は再び一層に戻りゴブリンの討伐を続けた。


クロードは魔法の使い方も教えハバロフと取り巻き達は安定してゴブリンを狩ることが出来るようになっていた。


他の班と遭遇することなくたまに冒険者とすれ違うぐらいで効率よく経験を積ませることに成功していた。


疲労具合を確認して先輩達とクロードが警戒することで安全をはかり通路で休憩させる場面もあったが不平不満を唱えることもなく水分補給をして体力を回復するのに努めていた。




お腹が空いてきたぐらいで2層との間にある安全地帯に戻り食事の準備をはじめる。


今回はクロードが担当するといって受け持った。


野菜とオークの肉をじっくり煮込み塩で味を調整したスープにオーク肉を分厚く切りステーキにして焼いていく。


後は柔らかいパンを用意して完了だ。


人数分を手早く済ませ準備が出来たので声をかける。


「食事の準備ができましたよ」


「クロード君。ありがとう。演習中にこんな料理が食べられるとは思ってなかったわ」


「うまそうだな」


さっきまで横になっていたハバロフ達も匂いにつられるように近寄ってくる。


皆は大いに食欲を満たし多めに作っておいたスープも空になるほど盛況だった。


この日はそのまま就寝することとなりクロードと先輩達は交代で夜番をして次の日に備えるのだった。

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