第287話
クロードはニーパス領に竜騎士団と共に戻り事後処理をした後王都にある学園の寮へと戻ってきていた。
王宮への報告など戦争に関する事後処理も終わり鹵獲した魔人達が使う転移門を調べていた。
鹵獲した転移門の魔法陣は神代文字に似ており辞書を手配して慎重に読み取っていく。
合致しない文字もあるが根気よく解読を続けおおよその概要をつかむことに成功した。
魔法とはそもそも神の御業をなんとか人が利用できないかと考えられ作られたものである。
魔人達の頭が邪神ロキであることを考えれば人より優れた技術を持っているのは当然のことであった。
概要はつかめたがそれを実際に利用できるかといえば現段階では不可能だと判断した。
研究は続けるが資料が転移門の魔法陣のみであることを考えると流石のクロードもお手上げである。
次に注目したのは転移門を動かしていたと思われる宝玉である。
色々試してみた結果、魔石よりも保有魔力が高く暴走した場合の被害を考えると迂闊に実験をするわけにはいかないことがわかった。
今まで転移門を破壊していたわけだがよく暴走を引き起こさなかったものだと冷や汗をかく。
クロードはここまでの研究結果をまとめて報告書を書き上げる。
報告書を書き上げたクロードは王宮に赴き国王陛下のポセイドスと宰相のリッチマンを相手に自分の見解を説明していた。
「クロード卿。ミッシア辺境伯領の件ご苦労であった」
「ありがとうございます」
「それで報告があるとのことだが」
「今回、魔人達の使う転移門を鹵獲することに成功しました。その転移門を調べた結果わかったことを報告させていただきます」
「それは喜ばしい。クロード卿。説明を頼む」
「まず魔人達の使う転移門ですが神代文字に近い文字が使われておりました。己なりに解析をしましたが完全に理解することはできず利用するのは難しいと言わざるを得ません」
「神代文字か。神代の時代の資料は残っているものが少なくそれは仕方のないことであろう」
「問題は転移門に使われていた動力源である宝玉です。こちらがその宝玉となります」
クロードはアイテムボックスから宝玉を取り出す。
「これが宝玉か。当然詳しく調べたのだろう」
「魔石より保有魔力が高いことが判明しています。これが暴発した場合は重大な被害が出ることが予想されます」
「今までは転移門を発見次第破壊するよう指示を出していたがそれが危険だというのだな」
「今までは単に運が良かっただけなのではないかと思っています」
「わかった。転移門を見つけても破壊するのではなく動力源の宝玉を抜き取らせることで停止させるように指示を出そう」
「報告は以上となります」
「クロード卿。お疲れさまでした。引き続き研究をお願いします」
「最善を尽くします」
クロードは報告すべきことは終わったので学園の寮へと戻るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます