第280話
ライヒルト公国側は密かに動いていたがミッシア辺境伯家側は優秀な間者を投入しておりライヒルト公国の不自然な動きを察していた。
ミッシア辺境伯家当主であるタイラントは直ちに騎士団をまとめて国境の街へ向けて移動を開始した。
息子であるミシリウスは何かあったときに対応すべく領都に残り後続の歩兵部隊を編制していた。
そこにあがってきた報告は領地の各地で不自然な魔物の群れの出現である。
ミシリウスは編制中であった歩兵部隊を各地に送り抑え込むように指示を出す。
このタイミングでライヒルト公国が動けば対応するタイラントが不利な状況となるが歴戦の覇者である父を信じて領内の安定を図るべく兵力を配置していく。
しかしミシリウスは続々と上がってくる魔物の群れの出現に頭を悩ませることとなる。
ミッシア辺境伯家はかなりの数の兵を確保しているがこのままでは民に被害が出るのは時間の問題だ。
一番の戦力であるタイラントと率いる騎士団を投入できればいいがライヒルト公国が怪しい動きを見せているいま国境の街から動かすわけにはいかない。
ミシリウスは辺境伯家の恥となるが周辺の諸侯と王宮に通信の魔道具で連絡をとり援軍の要請を出す。
周辺の諸侯はミッシア辺境伯家が倒れれば次に襲われるのは自分達の為出来る限りの戦力を送りだすことを決めた。
王宮でもミッシア辺境伯家の現状が説明され援軍を送り出すことが即時決定された。
今回の件が軍事的にはじめて転移門が導入される案件となる。
転移門で途中まで移動しそこからは自力での移動となるが送り出された軍はかなりの距離を稼ぐことに成功していたのである。
その頃ライヒルト公国も動き出していた。
表向きは魔物の被害にあっている隣国を助けるためという建前でミッシア辺境伯家の国境の都市周辺に展開していた。
それに対してタイラントも動き近くの平原でライヒルト公国とタイラントの率いる軍は対峙していた。
「我々は魔物の被害で苦しんでいる隣国を助けるためにやってきた。どうか受け入れていただきたい」
「不要だ。我が国は独自に対処が可能だ。お帰りいただこう」
魔物の被害への対応といいながらライヒルト公国の装備の中には簡易的な攻城兵器が含まれている。
ここを突破されれば彼らが取る行動は明らかだ。
戦力的には不利ではあるが息子であるミシリウスも最善を尽くしている。
ここで不甲斐ない働きは見せられないと気合を入れて対峙する。
タイラントとライヒルト公国の睨みあいは続く。
時間はじりじりと過ぎてゆくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます