第260話

クロードは平常運転ということで授業を受けていた。


授業についていけないということはなく平穏な時間が過ぎてゆく。


放課後となりいつもならクラスメイトの修練や勉強に付き合う所であるがエリーゼが話しかけてくる。


「クロード。街に買い物に行くのだけど一緒に行かないかしら」


「いいですよ」


クロードとエリーゼは二人で連れだって学園を出て商店の立ち並ぶ区画を目指して歩いていく。


距離を少し開けて護衛の兵士がついてきているがエリーゼがそれに気づいた様子はない。


せっかく楽しんでいるエリーゼに水を差すのもどうかと思い黙っておくことにした。


エリーゼは楽しそうに服や宝飾品を扱うお店を見て回っている。


「クロードも正装を買い替えましょう。流行に乗らないと周りの貴族から笑われるわよ」


クロードも何着か正装は持っているが伝統を重視した物ばかりだ。


「そうですね。何着か買うことにしましょうか」


「それなら私が選んであげるわ」


「お願いしますね」


クロードは自分のセンスに自信がなかったのでこの申し出は嬉しかったのだがそう思っていられたのは最初のうちだけだった。


何着も着替えさせられ気分は着せ替え人形のようだった。


「これもいいわね」


「エリーゼ・・・。こんなに買っても着る機会がないのですが」


「これからは社交の季節よ。着る機会ならいくらでもあるわ」


結局エリーゼの勢いに押されて全部購入するクロードなのだった。


「ふぅ・・・。疲れました。エリーゼ。休憩にしませんか」


「ならそこの喫茶店に入りましょう」


エリーゼの示したのは喫茶店のようで男女のカップルばかりだ。


「僕は構いませんけどいいんですか」


「一度クロードと来てみたかったのよ」


エリーゼに躊躇う気持ちはないようだ。


メニューは二人で分け合うような品ばかりであるがクロードは無難に紅茶を注文する。


「クロードと一緒に分け合いたかったのだけど」


「立場を考えてください。噂になったら色々とまずいでしょ」


「仕方ないわね。今日のところはこれで我慢しておくわ」


世間からすれば一緒にこのお店に入った時点でアウトなのだがクロードは気が付いていなかった。




クロードとエリーゼがデートを楽しんでいると国王陛下であるポセイドスの耳にも入っていた。


「うむうむ。エリーゼは頑張っておるようじゃの」


「よろしいのですか。家格は問題ないとはいえ新興の貴族にエリーゼ様を任せて」


疑問を呈したのはゲルマン王国の誇る諜報機関の長だ。


「クロードの力はこの国に必要だし何よりエリーゼが好いておるからな」


「その為なら有象無象の貴族が何か言ってきても構わないということですか」


「力のない者がいくら騒ごうとそれは負け犬の遠吠えだ。そういう連中とクロードとどっちを取るかと言われればクロードを選ぶ。とはいえ問題が起きないに越したことはない。これからも頼むぞ」


「心得ました」

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