第230話
エリーゼは鏡の前でクロードから貰った髪飾りを何度も確認していた。
思い人からの手作りのプレゼントである。
ニヤツク顔を抑えようと思うがどうしてもすぐに戻ってしまう。
髪から髪飾りを外して手に取り細工を確認すればとても細かく繊細な装飾にバランスよく散りばめられた宝石がキラキラと光を反射している。
自分も何かプレゼントをしたいが何をあげたらクロードは喜ぶのだろうか。
何でも出来るクロードは大抵の物なら自分で手に入れてしまうだろう。
そんな彼に何かお返しをしたいが思いつかず悩むこととなる。
翌日。
エリーゼはクロードの母様に相談してみることにした。
「クロードの嬉しがる物ね。大抵の物は自分で何とかしてしまうだろうし難しい質問ね」
クロードは財力もあり素材なんかも気軽に出かけては手に入れてきてしまう。
「お母様でもわかりませんか」
「そうね。でも何を送るかというより誰から送られたかが大事なんじゃないかしら」
「そうなのですか」
「クロードは5歳の誕生日で貰った剣を未だに使い続けてるようだしエリーゼ様から貰った物なら嬉しいんじゃないかしら」
「そうなのですね。街に探しに行ってもよいでしょうか」
「護衛を手配するわね」
「お手数をおかけします」
「気にしないで。クロードのことを好いてのことですもの」
エリーゼは護衛の者と共にプロミネンスの街へと繰り出した。
様々な店をまわるが中々これはという物が見つからない。
露店をまわっていると何だか香しい匂いが漂ってくる。
匂いの元をたどると変わった飲み物を販売しているようだ。
「お嬢さん。興味があるなら一杯どうだい」
「ええ。いただくわ」
エリーゼは代金を支払い真っ黒い液体を少しだけ飲んでみる。
「苦いわね」
「お嬢さんの口にはあわなかったかな。角砂糖をいれてごらん」
エリーゼは言われた通り角砂糖を入れてみる。
「これなら飲めるわ。慣れてくると癖になる味ね。珍しいしこれならクロードも喜んでくれるかも」
「気に入ったのなら購入していかないかい」
「いただくわ。ところでこれってなんていうのかしら」
「南国から仕入れてるコーヒーっていうんだ。淹れ方をレクチャーするね」
エリーゼは真剣に露天商の話を聞きコーヒーをいれる為の一式を購入する。
「ありがとう」
「コーヒーが少しでも広まってくれると嬉しいからね。わからないことがあったら聞きに来てくれればいいから」
「わかったわ」
エリーゼはこれで少しはクロードへのお返しになるかしらと思いつつ屋敷に戻るのだった
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