第204話
中等部の本戦は問題なく終わり高等部の本戦がはじまろうとしていた。
クロードも高等部の生徒に混じり最後の確認をして問題がないことを確かめる。
刀があればよかったのだが学園の用意した刃引きされた装備の中には残念ながらなかったので剣を選んでいた。
クロードは鞘に剣を収めたまま審判の開始の合図を待つ。
開始の合図とともに踏み込み抜刀術の一撃で対戦相手を仕留める。
相手はあまりの速さにポカンとした顔をしているが気に留めずに試合場を後にする。
その後の試合もクロードは抜刀術のみで勝ち上がるのだった。
「やはりクロードの奴が学生レベルの試合に参加するのはダメだな」
「クロード卿は手札を隠されてるつもりでしょうけど技一つで潜り抜けているのを見ると理不尽ですね」
「これでは他の学生の実力を図れんな」
国王陛下であるポセイドスと宰相のリッチマンはお互いに顔を見つめつつ溜息をつくのであった。
「クロード。おめでとう」
「ありがとう。エリーゼ」
クロードが勝つのは織り込み済みだったとはいえ一刀のもと先輩達に次々と勝っていく姿は乙女心にくるものがあった。
私の思い人はこんなにも強いのだと叫びだしたいほどだ。
内心の想いを押し込めて普段通りを心掛ける。
「さすがはクロードね。先輩達を子供扱いじゃない」
「手の内を晒したくなかったからね。ここまでうまくいくなんて自分でもびっくりしているよ」
刀でなく剣を使っていることで抜刀の速度は落ちているし防ぐ人も出るだろうと予想していたのに圧勝してしまい戸惑っていた。
少なくも同じ戦術を騎士団レベルの人に使えば対応されるだろう。
先輩達も何とかしようとしていたようだったが圧倒的に初動の動きが遅かったのが原因だ。
クロードは冷静に分析をすることで慢心しないように次の試合に備えて考えるのであった。
規格外の存在であるとはいえ何も出来ずに1年に負けた生徒を心配して教員達はフォローをするべく動いていた。
教員達は教えるに足る高い戦闘力を誇るが自分達が相手でも対応できたかと言われると難しい。
そんな中負けた生徒達は笑いあっていた。
「あそこまで圧倒的だともう笑うしかないな」
「自分達は強いと思っていたが上には上がいるものだな」
「あれだけの実力者だと師事してみたいな」
教員の想いとは裏腹に生徒達はやる気に満ちていた。
「一から己を鍛えなおす。人とはあそこまで強くなれるものなのだな」
「あんなに可愛いのに強いなんてキュンキュンしちゃうわ」
一部違う意味で萌えている生徒もいるが概ねクロードの実力を認めていたのである。
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