第200話

クロードは高等部の生徒達に混じって武闘祭の試合に臨んでいた。


体格差はあるものの臆さずに自然体で体を動かして相手の繰り出してくる剣を避ける。


高等部の生徒だけあって技術は洗練されており隙の少ないいい動きであるがクロードからみれば子供のようなものである。


相手の剣を受け流し体勢が崩れたところを胴に一撃入れる。


「そこまで」


「はぁ・・・。強いとは思っていたけどここまで強いとはな」


「ありがとうございました」


「頑張れよ」


さっきまで相対していた先輩と握手を交わす。


クロードが戻るとクラウス兄様が話しかけてくる。


「クロードが参加してくるとは思ってなかったぞ」


「せっかくのお祭りですから楽しまないと」


「手を抜けとは言わないがほどほどにな」




将来有望な学生を確保するために近衛騎士団や王宮騎士団も見学に来ており会話をしていた。


「なんだ。あの子は凄まじく強いじゃないか」


「近衛騎士団の方はクロード卿の戦いを見るのははじめてか」


「クロード卿というと辺境伯になった。あの・・・」


「うちの団長とやりあえる程だからな。立場上引き抜けないのは残念だが心強い限りだ」


「噂は聞いていたが過大評価された物とばかり思っていたが王宮騎士団の団長とやりあえるのか」


「団長クラスの実力者が混じっているのは他の参加者に同情するが今年の武闘祭は楽しめそうだな」




高等部の生徒はクロードの実力を甘くみていないが当たらないことを願っていた。


「次の試合の相手俺なんだけど」


「当たって砕けてこい。骨は拾ってやる」


「恥にならない戦いを期待してるぜ」


周りに勇気づけられて槍を構えてクロードと相対する。


クロードの得物は剣の為間合いに入れなければ勝てるがそれを実現するのが難しい。


突きを繰り出して引き戻すのでは無理だと判断して槍をまわし遠心力を利用して石突で攻撃を繰り出すがクロードは難なく回避する。


そのままぐるぐると槍をまわして連続した攻撃を繰り出すが当たることはなく焦りが顔を出す。


完全に翻弄されている。


何とかしなければいけないがどうしたらいいのかわからない。


クロードが剣を一振りしてくる。


槍を落とさないようにしっかりと握りしめたつもりだったが気が付けば槍は大きく吹き飛ばされていた。


武器を失い一撃を貰ってしまう。


「そこまで」


審判の声で負けたのだと理解する。


悔しさよりも清々しい気持ちだった。


自分に出来ることはした。


悔いが残る結果ではあったが今は相手を称賛しよう。


「まいりました」


「ありがとうございました」


クロードは勝ちを誇るでもなく下がってゆく。


槍を拾って仲間達の元へと戻るのであった。

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