第182話
授業も終わり武闘祭に向けて力を入れたいとのことでクロードは演習場で女子生徒達と向かい合っていた。
授業で分かった問題点の改善が出来るように指導していく。
一通り指導が終わったらエリーゼと模擬戦を行う。
エリーゼが必要としているのは基礎の段階ではなく実践経験だったからだ。
授業の時とは違い今度はクロードから積極的に攻め込んでいく。
エリーゼは武器を合わせるのを避け体さばきで回避していく。
エリーゼが反応できるギリギリを見極めて攻撃をしかけ続ける。
わざと隙を作りエリーゼが反撃をできるようにして見事にその隙に攻撃してくるエリーゼに感心する。
この動作を繰り返すことによってエリーゼの動きは劇的に良くなっていく。
30分ほど模擬戦を続けてクロードは距離を取る。
「そろそろ休憩にしましょう」
「わかったわ」
エリーゼは座り込んで体力の回復に努める。
クロードはその間に他の女生徒の練習を見て改善点を指摘してまわる。
その頃ハバロフをはじめとする男子生徒も武闘祭に向けて自主練をしていた。
指導をしてくれる先輩も武闘祭に向けて練習するということで捕まらず前の失敗を繰り返さないために彼等がしているのは基本の素振りだけだ。
「これで本当に強くなれるのか」
「先輩が今は基礎を徹底して固めろって言ってたんだよ」
「文句があるなら参加しなくてもいいんだぜ」
「わかった。やるよ。やればいいんだろ」
不平不満は出るものの出来ることをやるだけである。
クロードは武器を槍に持ち替えてエリーゼの相手をしていた。
槍使いとの戦いはどうやってリーチを掻い潜り自分の攻撃範囲に持ち込むかである。
エリーゼは恐れることなく突っ込んでいくが槍を使うのは達人の域に達しているクロードである。
何度もトライするがクロードの扱う槍捌きに足止めを食らっては射程外に逃げるのを繰り返していた。
「むぅ。全然潜り込めない」
「惜しい所まではいっていますよ」
エリーゼはバックステップで距離をあけて出来る限り加速して突撃してくる。
クロードはその攻撃を躱すこともできたがあえて通した。
エリーゼの刺突はクロードの体にヒットする。
模擬専用に刃は潰してあるとはいえ勢いの乗った刺突を食らったクロードはダメージを食らっていた。
「クロード。大丈夫」
「大丈夫ですよ。ヒーリング」
安心させるように詠唱付きで回復魔法を使い健在をアピールする。
「最後のはいい攻撃でした」
「ありがとう」
「今の感覚を忘れないようにもう一度いきましょう」
「わかったわ」
夕暮れまで特訓を続けるクロード達だった。
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