第172話
クロードがリタイアした生徒達の面倒を見ていると演習を続行していた生徒達が続々と戻ってきた。
教員が全員集まるように指示を出しクロードもそちらに向かう。
「全員無事に集まれたことを嬉しく思います。最後まで演習を続行した皆さん。お疲れさまでした。残念ながらリタイアしてしまった者もクロード卿によって貴重な体験をすることができたでしょう。演習は以上となりますが学園に戻るまで気を抜かないように頑張ってください」
教師が演習の終了を告げると演習に参加していた生徒達はだるそうにしつつも馬車に乗り込んでいく。
クロードは教員達と同じ馬車に乗り込み会話をしていた。
「クロード卿。今回はありがとうございました」
「いえ。役目を果たしただけですから」
「この後に行われる演習でもよろしくお願いします」
「どこまでお力になれるかわかりませんが頑張ります」
「クロード卿。申し訳ないのですが今回の演習の報告をお願いします」
「わかりました。学園に戻ったらすぐに書きますね」
演習に参加した生徒達を乗せた馬車は急停止することとなった。
何事かとクロードが顔を出すと商隊と思われる馬車の一つが横倒しになっていた。
「これは一大事ですね」
馬車は車輪の一つが外れておりそこからバランスを崩して倒れたようだ。
「車輪の修理はできますか」
「予備があるからそれは大丈夫なんだが馬車を起こすのに苦労していてな」
「任せてください」
クロードは安々と馬車を引き起こして元の状態に戻す。
その光景をみせられた商人はあんぐりと口をあけてびっくりしていた。
「支えているので車輪の修理をすませちゃってください」
「ああ・・・。わかった」
修理をしている人以外の商隊の人達が散らばった商品を集めて片付けていく。
「よし。これで大丈夫だ。坊主ありがとうな」
「いえ。困ったときはお互い様ですよ」
ちょっとしたトラブルには巻き込まれたが無事学園に戻ってくることができた。
クロードは自分の寮に戻ると早速報告書をまとめはじめた。
ただあったことを書くだけでなく改良点なども盛り込んで仕上げていく。
頭を使ったクロードは甘いものが欲しくなりエリーゼがくれた物を思い出す。
紅茶をいれてお茶請けとして袋から取り出すとクッキーだった。
「うん。甘くて美味しいな」
エリーゼのくれたクッキーで元気を取り戻したクロードは報告書を仕上げ職員室へと向かう。
「失礼します」
「クロード君。どうしたの」
対応してくれたのはレイシャ先生だった。
「演習の報告書を頼まれていたので届けにきました」
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