第170話
クロードは教員達と夕食をとっていた。
「昔は演習の度にまずい携行食だったが味が改良された物が販売されて助かったな」
食事は士気に大きく影響する。
改善できるならするべきなのである。
「クロード卿はプロミネンス領の出身ですよね。何か関わっていたりするんですか」
「屋敷の料理長と試行錯誤した結果生まれたのがこの携行食ですよ」
「ということはクロード卿が開発者の一人ということですか」
「そういうことになりますね」
夕食も終わり仮眠を取ろうかと思っていると教員達が慌ただしくなっていることに気が付いたクロードは急いで向かう。
「何かありましたか」
「生徒から救援を求める信号が送られてきました」
教員が持つネックレスが点滅している。
「それは魔道具ですか」
「ええ。元々は護衛用の道具なんですが危険な状態になったらこの魔道具に魔力を注ぐことで自分の危険を知らせることができるんです」
「問題は信号を発した生徒達は奥のほうまで入り込んでいるようで急いで向かったとしても間に合うかどうか」
「そういうことなら僕がいきましょう」
「お願いできますか。信号の発信地点に近づけばネックレスの点滅が早くなります」
「わかりました」
クロードはネックレスを手に救援を求める生徒のもとへ全速力で向かった。
今回はスピードを重視するため途中で出会った魔物は進路上のものだけを魔法と剣を使って排除する。
救援者を発見したクロードは状況を確認する。
4人組のうち2人が重傷を負って動けない状態になっているようで残りの2人も傷を負いつつもゴブリンを牽制していた。
「助けに来ましたよ」
巻き込まないように多重詠唱でエアカッターで数を減らしにかかる。
牽制している2人に近いゴブリンは剣で素早く片付ける。
牽制していた2人も限界だったようで座り込む。
逃げ出すゴブリンは放置して向かってくるゴブリンを殲滅したクロードは一息つく。
「怪我を治しますので集まってください」
ノロノロと一か所に集まったのを確認したクロードはエリアハイヒールで治療を施す。
「どうしてこうなったんですか」
「食事を取っているところを襲われたんだ」
「なるほど。火は目立ちますから使い方に気を使ったほうがいいですよ」
「嫌ってほど実感したよ」
「それでどうしますか。演習を続行しますか。リタイアしますか」
「皆。リタイアでいいな」
「あぁ。問題ない」
「夜の移動は危険ですからとにかく今は休んでください。夜番は僕がするので安心して寝てくれて大丈夫ですよ」
上級生達はよほど疲れていたのだろう。
すぐに眠りに落ちていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます