第163話

「クラウス君は騎士団に行った帰りかしら」


「ええ。そうです」


「クロード君がクラスメイトに勉強や鍛錬をしているのは知っているかしら」


「噂には聞いていますが」


「この子達もクロード君のクラスメイトなのよ。危機感を覚えてくれたのは嬉しいんだけど指導者不在で模擬戦をして怪我人が大量にでてね」


間接的な被害ではあるがクラウスは申し訳ない気持ちになってしまう。


「うちの弟がすみません」


「クロード君の行いは立派だし助かっているからいいのだけどね」


「そういうことなら自分をはじめ他にも上級生に声をかけて面倒をみましょうか」


「それは助かるわ。お願いできるかしら」


「先輩に迷惑をおかけするわけには」


「いや。やる気のある後輩は大歓迎だ。それに指導者がいるといないでは効率が大きく違ってくる」


「ありがとうございます」


こうしてハバロフ達は指導者を得たのである。




翌日から話を聞いた上級生達は現状を確認すべくハバロフ達の体力測定から開始した。


「まずは基礎体力がどれぐらいあるか調べる。限界まで走ってくれ」


「はい」


返事はよかったものの基準値以下の体力しかない者が続出した。


「走った後できついだろうが次は素振りをしてもらう」


「頑張ります」


基礎が出来ていない者が多く上級生達は修正させていく。


「次は魔法の腕前をみせてもらおうかな」


ハバロフ達は並んで的に向かって魔法を放つがほとんど当たらない。


「君達の実力は大体わかった。体力はどんな戦闘スタイルでもあって困るものではないからしばらくは体力作りを中心に教えていくことにする」




基礎体力作りのメニューをハバロフ達にやらせている間に上級生達は話し合いをしていた。


「これは思っていたより酷いな」


「授業だけでこの状況を改善しようとしたらかなりの月日が必要な所だったな」


「引き受けた以上は一人前になるように頑張ろう」




その頃クロード達は体力作りの日ということで重りを入れたリュックサックを背負い走り込みをしていた。


重量は個人の実力に合わせて変えてあり一定のペースで走っている。


遅れた生徒にはクロードが声をかけて何とか持ち直させている。


ギリギリまで追い込んで休憩に入る。


「それでは10分間休憩です。水分補給を忘れないでくださいね」


皆ぐったりとしているが休憩が終わるころには何とか復帰してくるだろう。


次の訓練メニューは何にしようか考えていたクロードであった。




初日の鍛錬を終えたハバロフ達は寮のロビーでぐったりしていた。


「先輩達厳しすぎるぜ」


「ちらっと聞いたけど初日だからあれでも手加減してくれてたらしいよ」


「これ以上厳しくなったら体が持たないぜ」


不平不満を唱えるハバロフ達であった。

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