第156話
「うむ。今回の出来も素晴らしい。ゲルマン王国の立場としては教材として採用できないが価値のあるものだ」
「ありがとうございます」
「この本を出版するなら伝手を使って手配するがどうする」
「王都では伝手が少ないので助かります」
「わかった。責任を持って世に広めよう」
「お話は終わったかしら。クロード君が職員室を訪ねてくれて助かったわ。担任になる予定のレイシャよ」
「レイシャ先生よろしくお願いします」
「私は魔法を担当するんだけどクロード君とはすり合わせをしておきたかったのよ」
「すり合わせですか」
「まずはこれを見てくれるかしら」
そこには魔法の基礎について書かれていた。
「レイシャ先生。ここの部分ですがこちらの方がよくないですか」
「そこね。私もどっちにしたらいいか悩んだのよね」
「両方教えて使いやすい方を使って貰ったらどうでしょうか」
「生徒達が混乱しないかしら」
「確かに混乱する人も出るかもしれませんがこれは基礎の部分なので早い段階で自分がどちらが適しているか選択できた方がいいのではないでしょうか」
「なるほどね。なら両方教えることにしましょう」
その後もレイシャ先生と細かい調整を続け方針を決めたのだった。
レイシャ先生との調整を終えると他の先生もすり合わせをしたいとのことで次々と話し合いをする。
調整が終わったときには夕暮れになっていた。
「長々と悪かったね。でもこれで授業に安心して取り組むことができるよ」
クロードは寮に戻った後簡単に食事を作り本を読んだ後就寝した。
翌日クロードは先生に聞いておいた戦略研究室を訪ねることにした。
戦略研究室と書かれたプレートを確認して中に踏み入れる。
「なんだ。ここは初等部の生徒が来るような場所じゃないぞ」
近くにいた人が追い出そうとしてきたがここで追い出されるわけにはいかないので名乗りをあげる。
「僕はクロード・フォン・プロミネンスといいます」
「ちょっと待て。君がファールハイト先輩の弟か。自分に匹敵する戦略眼を持つとかいってたな」
「戦略盤で我々と勝負して勝てれば出入りを許可する。出来なければ出て行ってもらおう」
「わかりました」
戦略盤での勝負は久々だがファールハイト兄様の顔に泥を塗らないためにも負けるわけにはいかないと張りきって対峙する。
結果はクロードの圧勝だった。
「ファールハイト先輩の言ってたことは本当だったわけだ。我々は君を歓迎するよ」
「君は変わった手を打つね。とても参考になったよ」
「ファールハイト兄様に勝つには既存の手では難しかったので」
こうしてクロードは戦略研究室に迎え入れられたのだった。
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