第139話

鏡のようなものの調査を命じて数日が経った。


懸念していた通り複数の場所で同じ物が見つかった。


いずれの場所も強力な魔物が守っているということで騎士団とクロードが分担して対処することとなった。


今も鏡のような物を破壊するためにナーガという蛇の下半身に人の上半身という魔物を討伐したところだった。


「これでよしっと。後は鏡のような物を破壊するだけだね」


鏡のような物を破壊しようと近寄ったところで角をはやした人のような外見の者が飛び出してくる。


「最近魔物の広がりが悪いと思ったが人間共が転移門を破壊してまわっていたということか」


目の前の存在は強大な魔力反応を示し只者ではない雰囲気を漂わせている。


「お前は一体なんだ」


「特別に応えてやろう。我は魔人である」


魔人。


それはゲーム時代では魔界の住民でありかなりの強さを秘めていた。


「魔界の住民が人の暮らす世界に何の用なのかな」


「魔界のことを知っているのか。中々博識だな。我らは主の命により人の世界に魔物を放ち混乱と混沌を引き起こすのだ」


「魔界の主ということは邪神ロキか。迷惑なことだね」


「主の名を軽々しく口にするとは万死に値するぞ」


魔人が戦闘態勢をとろうとするがこちらの準備はすでに終わっている。


クイックで刀に持ち替え歩法俊雷で懐に潜り込み居合の神閃を放つ。


「待て。小僧。いや。待ってください」


「おや。仕留めそこなったか。さすがは魔人だね。でも待つ理由が見つからないかな」


容赦なく刀を頭に突き入れる。


魔人は霧となって消えボスクラスには劣るもののかなり大きい魔石を落とした。


「転移門とかいってたな。それにしても魔界に繋がってるのかこのまま放置はやっぱりできないよね」


ゲーム時代魔界はEXダンジョンと呼ばれ他のダンジョンとは比べ物にならないぐらいの魔物が生息している地域になる。


奥に進めば進むほど魔物は強力となりさらに進めば先ほど倒した魔人などといった個性的な敵が現れるのである。


クロードはこれ以上魔物が溢れ出てこないように転移門を破壊してしまう。


「邪神ロキの差し金とかいってたな」


邪神ロキはゲーム時代に倒したことがあるが回復アイテムを湯水のように使いぎりぎり勝てたような強大な敵だ。


倒したリターンは大きいが現実となったこの世界では相手にしたくない。


「情報が手に入ったのは嬉しいけど喜んでばかりもいられないな」


国王陛下と宰相に報告の必要があるだろう。


溜息をつきつつ王都に転移魔法で移動するのであった。

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