第107話

クロードとファイネルは謁見より早い時間に呼び出されて王宮の応接室で国王ポセイドスと宰相のリッチマンと会話していた。


「クロードよ。派手に動いたな。王国の闇とも言える闇ギルドの一つを壊滅させることができた。礼をいう」


「陛下。喜んでばかりもいられません。今回確保した資料から多くの貴族の不正も発覚するでしょう。そうなるとプロミネンス侯爵家への不満がまた大きくなります」


「うちのクロードが申し訳ありません」


「まずかったでしょうか。降りかかる火の粉を払っただけのつもりだったんですが」


「当然不正を働いた貴族の方が悪い。いつかは対応しなければいけないことだ。クロードは気にすることはない」


「ありがとうございます。話は変わりますが陛下に献上したい物があります。武器を出す無礼をお許しいただけますか」


「構わんぞ」


「それでは」


クロードはアダマンタイト製の剣と槍を数本取り出し机に並ばせる。


「これは剣と槍か」


「アダマンタイト製の剣と槍になります。お納めください」


「なんと。アダマンタイト製とな。我が国には数える程しかない。そんな貴重な物をすまんな」


「喜んでいただけたようで僕も嬉しいです」


「陛下。本題に入りませんと」


「そうだったな。軍需品の搬入の功績を称えて子爵に陞爵する予定だ。それに伴いクロードには領地を与えたいと思う」


「陛下。大変嬉しく思いますが僕には経営する自信がないのですが」


「そう難しく考えるな。普段は派遣している代官に任せればよい。学園に通い始めたら領地経営のための勉強はしてもらうがな」


「クロード殿に与える領地ですがシルフィード皇国と接するニーパスという街になります」


「それはまたずいぶんと僻地ですな」


「他の貴族からの反発を防ぐためとこれは将来への布石だ」


「とおっしゃいますと」


「シルフィード皇国はフラン連合王国から入ってくる鉱石を出し渋っているのは周知の事実だと思う。これを考えれば友好的な国ではないということだ」


「クロード殿には将来的に辺境伯になっていただきたいと考えています」


辺境伯は侯爵と体面的には同列で語られるが独自の軍の所有を認められ軍事色の強い家柄である。


「僕が辺境伯にですか」


「実感がわかんか。だがクロードなら出来ると踏んでおる」


「陛下も宰相も冗談でいっているわけではないのですね。私の方でもサポートできるように手配しておきます」


「お話はわかりました。期待に沿えるよう努力いたします」


「それでは我々は失礼する。時間までゆっくりしてくれ」


国王のポセイドスと宰相のリッチマンは退室していった。

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