第103話
「それではこれより森の中に入る。諸君の働きに期待する」
森の中を全員で動くのは非効率なので新兵達を何班かに分けて侵入させていく。
クロードは中央の班を監督することに決めてついていく。
早速魔物と遭遇し魔法を使える新兵が先制攻撃として魔法を放つ。
槍を構えている新兵は魔法の射線を確保しつつ近寄れないように槍を構える。
魔法を食らった魔物がこちらに近づいてくるが槍を構えた新兵が槍を突きさし危なげなく対処する。
クロードはあえて口出しをせず新兵達の判断に任せることにしている。
これから彼らはこういった形態で魔物の討伐を繰り返させることになるので判断力を鍛えなければならないからだ。
新兵達は魔物の討伐を続け今は交代で携行食をとっていた。
「携行食はまずいって聞いてたけどこれは美味しいな」
プロミネンス侯爵領の携行食はクロードが考案した物に全て置き換えられており士気向上に貢献していたのである。
食事休憩の後新兵達は再び魔物を討伐する為に森を進んでいく。
時間になったため新兵達は森を脱出して整列していた。
怪我人は出たようだが回復魔法で治療を施され全体としては特に問題がなかった。
「これで本日の討伐訓練は終了です。今回の訓練で僕が監督することは最後になりますが苦しい時や辛いときは訓練を思い出して頑張ってください。皆さんの活躍を期待しています」
「お世話になりました」
クロードは屋敷に戻った後父様の書斎を訪れ新兵の訓練終了報告を行っていた。
「父様。頼まれていた新兵訓練が完了しました。こちらが報告書になります」
「ご苦労だったね。それとタイミングが良かった。王宮から呼び出しがかかっていてね。数日後には出発するから準備しておいてくれ」
「わかりました。それでは失礼しますね」
クロードが鍛えあげた新兵達はこの後プロミネンス侯爵領各地をまわり功績を積み上げていくこととなる。
彼らの口癖は訓練で見た地獄よりは楽であるであった。
長期休みの終了に伴い学園に戻るクラウス兄様とアイリス姉様それにミシリウス義兄様とアリシア姉様も王都に向かうということで馬車三台で道中を一緒にしていた。
護衛はもちろん招集を受けたプロミネンス騎士団とミシリウス義兄様達を護衛してきた騎士が行っていた。
これだけの護衛を引き連れた貴族の一行に手を出す盗賊がいるはずもなく何事もなく進み問題なく王都へ到着した。
「よろしければ王都の屋敷にお泊りください」
ミッシア辺境伯家は王都にも屋敷を所持しておりお言葉に甘えて滞在することになった。
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