第101話

屋敷に戻ってきたクロードはまず料理長の元に足を運んだ。


「料理長。悪いんだけどこの肉で料理を作ってくれないかな」


アイテムボックスから肉を取り出す。


「これは良質な肉ですね。わかりました。これで夕食を作りますね」


タイラントボアは大量の肉を落としたのでこれはその一部である。


「楽しみにしているよ」




料理長の元を去った後は報告の為に父様の書斎にやってきた。


「父様。失礼します」


「お帰りクロード。討伐は無事にすんだのかな」


「はい。これがタイラントボアの魔石です」


アイテムボックスから魔石を取り出し父様の前に置く。


「確かに受け取ったよ」


「それで父様。開拓村の近くにあった森では大量の魔物が発生していました。何か対策を講じたほうがよいと思われます」


「わかった。訓練中の部隊のいい訓練にもなるだろうし対策しておくよ」


「他にも僕に出来そうなことってないですか」


「そういうことなら新設の部隊の訓練でも見てもらおうかな」


「僕にどこまで出来るかわかりませんけどやってみます」


「頼んだよ」




父様の書斎を後にしたクロードは自室で任せられることになる新設部隊の訓練メニューを考えていた。


「体力の錬成は基本として短期間で戦えるようにするには槍の訓練に集中したほうがいいかな。後は魔法の素質がある人を集めて初級の攻撃魔法と回復魔法を覚えてもらおうかな」


魔法を扱える人がいれば戦略の幅が大きく広がる。




使用人が訪れて夕食の準備が整ったことを教えてくれる。


食堂に向かうともう皆は揃っていた。


「お待たせしました」


席に着くと同時に使用人が配膳をすすめてくれる。


今日のメニューは肉づくしである。


どれも丁寧に下ごしらえがされておりとても美味しかった。




翌日クロードは指定された練兵場に来ていた。


集められた新兵の前で挨拶をしていた。


「本日より皆さんの訓練のお手伝いをすることになった。クロード・フォン・プロミネンスです。皆さんが立派な兵士となれるように全力を尽くしますのでよろしくお願いします」


やってきたクロードを見て侮っていた新兵達だったが訓練をはじめるとその評価を大きく変えることとなる。


クロードは師であるカリオンの訓練方法を元にしており鬼教官へと姿を変えていた。


脱落者には生活魔法で水を出し浴びせ容赦なく訓練を再開するように促す。


「そこ。休むんじゃない。まだまだいける。ダッシュダッシュ」


また魔法に適性があると判断された者は体力錬成の後回復薬を飲ませられ強制的に訓練を促された。


新兵達の受難は続く。

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