第84話
サイクスは混乱する頭で必死に考えていた。
侯爵家と言えば大貴族である。
それに加えて名前の後に爵位がついたということは独立した貴族でもある。
何か問題を起こせば第三国を間に挟んでいるとはいえ外交問題になりかねない。
「クロード様。改めて今回はスケルトンワーカーキングの討伐ありがとうございました」
「ギルドカードには何か秘密があると思っていましたが、情報が載っているんですね」
「秘匿というほどではありませんが普通の冒険者は知りません。プロフィールと功績をあげればその功績を。問題を起こせばその問題について記載するルールとなっているのです」
「なるほど」
「すまんが、クロード様のギルドカードにスケルトンワーカーキング討伐の功績を追加しておいてくれ」
「わかりました」
待機していた職員は再びギルドカードを持って去っていった。
「わ~。クロード君って~お貴族様だったんだね~」
「生まれはどうしようもないですがたまたまゴブリンロードを討伐することになってそれで陞爵されたんですよね」
「あの強さなら納得だな」
「クロード様は鉱石を集めに来たんですよね?」
「魔物の被害が増えているのでその対策ですね」
「我が国でも魔物の動きが活発になっているので納得できることですね」
「冒険者としては稼ぎ時ではあるが喜んでばかりもいられないな」
「忙しくて~死にそ~う~」
「他の冒険者も頑張っているがAランクパーティーにはついつい頼ってしまうからな」
「報酬はがっぽり入ってくるし念願のアダマンタイトの剣にもあと少しで手が届きそうだな」
「アダマンタイトを加工できる人がいるのですか?」
「ドワーフの爺さんで頑固者だが腕は確かだぜ」
「クロード様。興味があるなら推薦状を書きますが?」
「是非お願いします」
気前よくサイクスさんは書状をしたためてくれる。
そこにギルドカードを書き換え終わった職員が戻ってくる。
「お待たせしました。追記が終わりました」
「ご苦労だったな。クロード様。どうぞお受け取りください」
「ありがとうございます」
「お前たちもご苦労だった。下がってくれてよいぞ。報酬は受付でもらってくれ」
「それじゃぁ。俺たちは行くぜ。また何かあったら声をかけてくれ」
ディーンさん達が受付で報酬をもらうのを待って一緒に冒険者組合を出る。
「よし。ここで解散だ。数日は休みにするから十分に休んでくれ」
「それじゃぁ。私達はここで失礼するわね」
ミウスさん達を見送る。
「ドワーフの爺さんの工房はこっちだ」
どうやらディーンさんが案内してくれるようだ。
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