第75話

貴族の証明書は国外でも通用するが無駄な軋轢を作る可能性もある。


考えた結果冒険者として登録することである。


冒険者組合は国を跨ぎ存在しており身分証としては申し分ない。


クロードは早速冒険者組合に出向いていた。


今は多くの冒険者もアポロニア建設のために出払っておりすぐに受付を受けることができた。


「ようこそ冒険者組合へ。どうしたのかな僕?」


「冒険者として登録したいのですが」


「小さい子が登録するのは喜ばしいことではないけれど誰でも受け入れるのが規則だから手続きしますね。まずはこちらの書類に記入をしてください」


受付嬢は代筆も必要かと思っていたがクロードはスラスラ記入していく。


「できました」


「問題はないようですね。それでは能力値をはかりますのでこちらの板に手を触れてください」


クロードが板を手に取ると発光して能力値が浮かび上がってくる。


板に書かれているのはステータスをランク表記したものである。


体力S。


筋力S。


俊敏S。


知力S。


などエトセトラである。


板を渡された受付嬢はとんでもない数値の羅列に自分の目がおかしくなったのかと何度も見るが記入内容が変わることはない。


「すみませんがしばらくお待ちください」


受付嬢は板を持って奥へと下がっていった。




受付嬢は板を持って組合長室に向かっていた。


「組合長。失礼します。新人の子が登録にきたのですが、数値がおかしくてどう対応したらいいのかわからないんです」


「見せてみろ」


手渡された板を確認して思考停止の状態に陥るがすぐに再起動する。


「これはSランク冒険者以上じゃないか。どんな子なんだ?」


「まだ幼い男の子です」


幼い男の子としてすぐに思い浮かぶ者は一人だけだ。


冒険者組合としても情報が命のため情報収集は常に行っている。


「幼い男の子か。名前はわかるか?」


「確かクロードです」


クロード・フォン・プロミネンス。


プロミネンス家の神童。


幼くして男爵位を授けられたという話は聞き及んでいた。


「俺が対応する。すぐにお通ししてくれ」


「わかりました」




受付嬢は受付に戻って対応をする。


「組合長が直接お相手するそうです。こちらへどうぞ」


登録にきただけなのに何やら大ごとになっているなと思いながら受付嬢の後に続いて奥へと足を踏み入れる。


受付嬢はノックしてから入室する。


「組合長。お連れしました」


「すまんがお茶を二人分頼む」


テキパキとお茶を入れた受付嬢は部屋を出ていく。


「冒険者組合プロミネンス支部。支部長のマッカランです。そちらの椅子へどうぞ」


丁寧な対応に疑問を持ちつつ椅子に座るのであった。


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