第62話
鍛冶屋から帰ってきたクロードは、今朝ファールハイト兄様に渡された教材で勉強をしていた。
わからないところもいくつかあるがわからない箇所をノートにまとめていく。
ファールハイト兄様も父様の補佐で忙しいのをわかっているので一個一個聞いていては迷惑になってしまうためだ。
その頃、ファイネルとファールハイトは増え続ける住民への対策をどうするか話し合っていた。
「これ以上開拓村を作って対応するというのも難しいと思います」
「そうなると新しく街を作ることになるが土地の問題と何より費用をどうするかだな」
「クロードが稼いでくれた資金を投入すれば何とかなりますがどうしましょうか?」
「すぐに回収できるならまだしも利益が回収できるのは数年、先になるだろう。できれば避けたいな」
「とはいえ噂を聞きつけてやってくる民に来るなとは言えないでしょう」
「あまり我が領に人が集まりすぎても他の貴族から睨まれるから嬉しい状況ではないのだがな」
「民が離れていくのはその貴族の統治に問題があるからでもありますが、声を大にして言うわけにもいかないですしね」
「考えていてもしかたない。クロードを呼んできてくれるか?」
「わかりました」
「クロードちょっといいかい」
「ファールハイト兄様。ちょうどよかった。わからないところがあったので聞きに行こうと思っていたところだったので」
「どこがわからないんだい?」
クロードはわからないところをまとめたノートを手に次々と質問していく。
「ここはこうなってこれはこうだから」
ファールハイト兄様は丁寧に解説してくれる。
「これでわからないところは全てかな?」
「はい。ありがとうございました。また、わからないところがあったら聞かせてもらいますね」
ファールハイトは内心焦っていた。
かなり苦労して作った教材を恐ろしいペースで理解していっているため、近い将来、自分が教えられることはなくなってしまうだろう。
「それはそうと何かごようがあったのではないですか?」
「そうだった。父様が呼んでいるんだ。一緒に来てくれるかい?」
「はい」
ファールハイト兄様と仲良く父様の書斎に向かう。
「父様。お話があるとのことですが何かありましたか?」
「うむ。言いづらいのだが、クロードが稼いだ資金を使わせてもらいたいと思ってね」
「資金にお困りなのですね。そういうことならこれも使ってください」
クロードはワーカーアントを倒して手に入れた金と銀のインゴットを全て取り出す。
ファイネルは一瞬固まってしまうが、何とか再起動を果たす。
「クロード。この金塊は一体?」
「この間、素材を集めに行った時の副産物です」
にっこり微笑むクロードにどう反応を返すべきか悩むファイネルであった。
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