第55話

クロードは仕上がったリザードマンの皮鎧と武器に回復薬を持って王都を訪れていた。


今回訪れたのは担当官に品質を確認してもらい承認を得るためである。


王宮の門番に男爵の証明書を提示して担当官の元まで案内してもらう。


「失礼します。クロード男爵をお連れしました」


「ご苦労。下がってよいぞ」


担当官は筋肉がよく鍛えられておりただの文官ではない匂いを漂わせていた。


「クロード男爵よく来られた。話は陛下から聞いている。軍需品の管理をしているヒューズだ」


「クロード・フォン・プロミネンスです。本日はよろしくお願いします」


「任命されてからまだ日にちがあまりたっておりませんが本日はどうなされた?」


「試作品が出来上がりましたので鎧と武器の品質の確認のお願いと回復薬の搬入に来ました」


「わかりました。こちらへどうぞ」


案内された場所にアイテムボックスから鎧と武器を取り出して渡す。


「これはリザードマンの皮製ですか。こちらは上位種の物ですな」


「普通のリザードマンの皮製の物は一般兵に。上位種の物は上官用に出来ればと考えております」


「武器の方も上質ですな。これなら品質の方は問題ありません。それでいか程、用意できそうですか?」


「そうですね。今回はこれぐらいですね。足りないようなら追加も考えております」


まとめておいた書類を手渡す。


それに目を通したヒューズは驚かせられる。


「これほど納めていただければかなりの部隊に行き渡らせることが可能です。素晴らしい」


「今回は品質の確認のために私が直接足を運びましたが次回以降は商会を通してになると思います」


「それで構いません。それでは回復薬の方を確認させてください」


「どちらにお出しすればよろしいでしょうか?」


「それではこちらでお願いします」


指定された場所に回復薬を出していく。


「これで以上です」


「こんなに大量にありがとうございます。搬入証明書と代金を用意しますのでしばらくお待ちください」




ヒューズは正直に言ってクロードに期待をしていなかった。


回されてくる人材は軍需品を甘く見て適当な仕事をする者が多かったからである。


しかし、今回クロードが搬入してきた装備は既存の装備の能力を大きく引き上げる物だった。


軍隊である以上、規格を統一する必要があるがその条件も満たしている。


これで多くの兵士から上がっている質を問題視する声も抑え込めるだろうと安堵していた。


クロードに搬入証明書と代金を支払った後ウキウキしながら宰相宛に報告書を書きあげる。

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