第49話
今日は謁見が開かれるということで父様とファールハイト兄様と共に王宮に登城していた。
今回は騎士爵として最後方の列に一人で並んでいる。
係の人の国王陛下入室を知らせる声が響き膝をついて頭を下げる。
「みな。楽にしてくれてよいぞ。本日は先日起きたリムテック伯爵領でのスタンピードにおける論功を表するものである」
宰相のリッチマンがまず謝罪を口にする。
「まず王国の管理するダンジョンでの魔物の氾濫ということでリムテック伯爵には申し訳なかった。国を代表して謝罪しよう」
謁見の間がざわつく。
国王陛下が謝罪するわけにはいかないので宰相が変わってした形だが国の非を認めたことになる。
「続いて事態の収拾に当たってくれた諸侯には報奨金を出させていただきます。そして特に功績が高かったということで次の者には勲章を与えるものとする。ファールハイト・フォン・プロミネンス前へ」
ファールハイト兄様が国王陛下の前へ進み出で膝をついて頭を下げる。
「迅速な救援及び見事な指揮で被害を最小限に食い止めたそなたに栄誉勲章を授与するものとする」
「ありがたき幸せでございます」
宰相であるリッチマンが小箱を持ちそれを国王陛下に差し出すと国王陛下が直接ファールハイト兄様に勲章をつける。
ファールハイト兄様は勲章をつけられた後、元の場所に戻っていく。
「続いてクロード・フォン・プロミネンス騎士爵前へ」
貴族達の間を抜けて国王陛下の前へ行き膝をついて頭を下げる。
「少数でダンジョンを封鎖し戦局を大きく動かした功績は計り知れない。よってそれを評して男爵位を授けるものとする」
「ありがたくお受けいたします」
「陛下。お待ちください。いくら功績があったからと言って子供に爵位をポンポン授けるなど我らを軽視しているとしか思えません」
若い貴族から不満の声が噴出する。
「子供であろうとなかろうと功績があれば表彰する。それに第一、第二、第三騎士団長から推奨もあった。これを無視するわけにはいかぬ」
「ロッテム子爵。陛下の御前ですぞ。控えよ」
近くにいた老貴族が諫めに入る。
宰相であるリッチマンが咳払いをしてからしめに入る。
「これにて今回の論功を終了するものである」
再び膝をついて頭を下げて国王陛下の退出を待つ。
国王陛下の退出を待ち父様と兄様のことを待っていると先ほど声をあげたロッテム子爵が近くに寄ってくる。
「優秀な騎士団を引き連れていただけで陞爵されるなど私は認めんぞ」
まわりの貴族の視線をかなり集めてしまっている。
これは面倒なことになったなと内心、溜息をついたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます