第26話
この後も順調にゴブリンの討伐を繰り返していく。
どこかから沸いてきたゴブリンが後方から襲いかかってくることもあったがファールハイト兄様が魔法と剣で牽制して時間を稼ぎ正面のゴブリンを討伐してから相手取り問題なく討伐することができていた。
今は小部屋に陣取り警戒しながら固形の携帯食を交代で取っているところだ。
「ファールハイト兄様は剣と魔法の腕は平凡って言う人もいるけれど基礎は怠っていないし領主として指揮能力を高めてきた結果なのよ。ファールハイト兄様が冷静に判断をして後方警戒をしてくれるから安心して魔法を撃つことができるのよね」
「褒めてくれるのはうれしいけど戦闘能力が皆より劣っているのは自覚しているからね」
「兄さんの戦術と指揮能力は完璧じゃないか。演習で兄さんと組んだときはいいが敵対したときはどうやっても勝てないんだからな」
「指揮官として優秀な者は二種類にわけられる。武力を示してカリスマを集める者。クラウスはどちらかというとこっちだね。私は無理だと早々に諦めて後者の戦術を極めることに集中しただけだよ」
「僕はどちらが向いているのでしょうか」
「クロードは武力は十分あるし状況判断もできているから今後の勉強次第ではどちらも兼ね備えることができると思うよ」
「屋敷に戻ったら勉強を教えてくれますか?」
「構わないよ。時間を作って教えてあげよう」
「十分休めたしそろそろ狩りを再開しようか」
小部屋を後にして警戒しながらダンジョン内を進んでいく。
上位個体のホブゴブリンやメイジゴブリンに指揮されている集団と遭遇する機会が増えていた。
「ふむ。統制のとれた動きをするゴブリンの群れが多すぎる。これは何かありそうだな。このまま進めば大部屋だけどどうするか・・・」
「名目とはいえ視察の目的で来ているから行ってみるしかないと思います」
クロードはゲーム時代の知識でこの先にはボスであるゴブリンロードがいる可能性が高いと判断していた。
ボスは下位種の同族を召喚するタイプが多く大部屋に入りきらないゴブリン達が出てきている可能性が高いからだ。
「兄様。さらなる上位種に統制されているのではないでしょうか?」
「なるほど。可能性としてはありうるね。討伐部隊を組むとしても確証は必要だから行ってみようか」
ボスを相手に偵察は失敗すれば即死につながる。
本音で言えば止めたいがクロードには止める言葉が思い浮かばなかった。
いざとなったら討伐するしかないと心に決めて大部屋に足を踏み入れるのだった。
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