第15話
魔物の討伐をはじめて2か月が経とうとしている。
カリオンからはもう一人前だと太鼓判を押されクロードは一人で森に通う日々を送っていた。
修練の成果なのか気配探知というスキルを新たに手に入れて自ら魔物の集団を見つけては殲滅するのを繰り返している。
魔物を討伐するだけでなく百科事典と見比べ薬草などの採取もしておりクロードのアイテムボックスには素材が大量にストックされている。
クロードが一人で森を探索しているときプロミネンス家の屋敷を訪ねてきた一人の老人がいた。
ファイネルが以前から探していたクロードの家庭教師の募集に応えてやってきた賢者だった。
すぐに書斎に案内するように指示して老人を出迎える。
「わざわざのお越しありがとうございます」
「ネツァルと申します。そろそろ引退を考えておりまして弟子を育てようと考えておりましてな」
賢者のネツァルと言えば高度な魔法を操り錬金術にも精通した人物として有名だった。
「訪ねてきていただいて申し訳ないのですが息子は今森の探索にでかけておりまして」
「中々活発な子なのですね」
「そろそろ戻ってくると思いますのでこのままお待ちください」
ファイネルとネツァルが談笑を続けていると扉がノックされる。
「父様。お呼びとのことですが」
「クロードよく来たな。こちらはお前の教師役をしてくださるという賢者のネツァル殿だ」
「クロードと申します。よろしくお願いします」
「一人で森に行っているとのことでもっと大きな子だと思っていたのだが、こんな幼子だったとは」
「こう見えてもうちの抱える騎士団員よりも強いほどでしてな」
「精強なプロミネンスの騎士団員より強いとはのう。才に恵まれても努力できなければ結果はついてこないはず。これは教えがいがありそうじゃの。魔法はどれぐらい使えるのじゃ」
「中級までの魔法は使ったことがあります。上級の魔法は使えると思えるのですが撃てる場所がなくて」
「うむうむ。上級の魔法は考えなしに撃てば周囲の被害が尋常じゃないことになるからのう」
「上級の魔法はやっぱり練習できないですよね」
「いやいや。わしが撃てる環境を整えてやろう」
「本当ですか?」
「主には魔法だけでなく錬金術も学んでもらおうと思うのだがどうじゃろうか」
「錬金術のスキルは持っていませんが興味はあります」
「スキルなどなくても一流の錬金術師になれるよう仕込んでやろう。ファイネル殿。錬金術を教えるにあたり用意して欲しい素材などがあるのじゃが取り寄せてもらえるかの?」
「息子の為です。お任せください」
こうしてクロードは賢者ネツァルに教えを乞うことになるのだった。
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