第9話
「走り込みはこれぐらいでいいでしょう」
「はい」
かなりの距離を走ったのだがクロードにはまだまだ余裕がうかがえる。
「次は剣の稽古をしましょう」
「はい」
カリオンは用意しておいた木剣をクロードに差し出す。
「まずは基本の素振りからです。お手本を見せますので同じように振ってみてください」
カリオンの素振りは堂に入ったものでクロードも見様見真似で振ってみる。
クロードが木剣を振るうとブンブン音がするがカリオンはダメ出しをする。
「クロード様。その速度で振るえるのはすごいことですが力で振るうのではないのです。振り下ろすときは遠心力を利用してください」
「はい。師匠」
その後もカリオンはアドバイスをしながら共に素振りを繰り返す。
カリオンは懐中時計を胸元から取り出し時間を確認してクロードに声をかける。
「クロード様。午前の訓練はここまでです。昼食が終わったら魔法の訓練をしようと思うのですがいけますか」
「はい。まだまだ大丈夫です」
「それでは一度失礼いたします」
屋敷に戻っていくクロードを見送った後カリオンも屋敷に向かう。
もちろん侯爵にクロードの教育結果を報告するためだ。
侯爵が仕事をしているであろう書斎の扉をノックする。
侯爵の入れとの声で扉を開けて室内に入る。
「失礼いたします。クロード様の訓練結果を報告に参りました」
「楽にしてくれ。それで結果はどうだった」
「言い方は悪いのですが一種の化け物ですね。基礎が全然できておりませんが身体能力は恐ろしいものがあります」
「そうか。多くの者を育てた主からそのような言葉を聞くとはな」
「午後からは魔法の練習をさせようと考えているのですが」
「それなら屋敷の練習場を使ってもらって構わない」
「ご配慮。感謝いたします」
クロードは部屋で着替えてから食堂に向かう。
母リーシアは既に席についており少し遅れて父ファイネルも席につき食事を始める。
「クロード。屋敷から見ていたけど頑張っているわね。無理はしていない」
「はい。母様。新鮮で楽しいです」
カリオンの教え方がうまいのか少しずつ上手く振るえるようになっていくのがわかり訓練を楽しんでいた。
「うむ。やはりカリオンに頼んで正解だったな。午後からは魔法の練習をするのだったな」
「はい。父様。今から楽しみです」
本での知識と洗礼の時に受け取ったイメージでは使えそうだが、まだ魔法を撃ったことがないので午後からの訓練が楽しみでしょうがないといった感じでクロードは上機嫌だった。
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