第17話 いろいろな薬品

 それから俺はよくあの部屋に通い、蒼の薬開発を手伝っていた。

 薬学の知識を身に着けるには実践や、見てみることが一番だと思ったからだ。

 蒼はここに来る前は凄腕の薬屋だったらしく薬学の知識がたくさん詰まっているらしい。

 だが俺は一つ気になることがある。それは材料の出どころだ。

 だから俺は聞いてみた

「この薬とかの材料ってどこから来るんだ?お前外出れないだろ?」

「あーそらな、ここって医務室あるやろ?そこで治療薬やらいろいろあるさかいそれ盗んでる。例えばネズミを使ってる。ほんなら大体ばれへんのやんな。

 まぁ盗んだ疑惑かけられとって、結構リーチくらってるけどな」

 駄目じゃねぇかよ。人によったらやばい奴もいるからな。

「だめじゃん」

「特に尾崎ってやつにいろいろ言われとってじゃまくさいがな。

 それにここの看守たちにお願いしても首傾げられたり、んなもん渡すわけねーやろって言われるやん」

「そりゃな。それにいきなり名前の長々とした薬とか言われても意味わからないだろ」

「え僕、名前の短い奴アレグラやらタミフルやら頼んでも首傾げられたで?」

「いやそれ何の薬品だよ」

「絶対タミフルは体に入れたことあるで。だってインフルエンザの薬やで?

 ようアレルギーやら書いたーるこまごました奴見たらあるはずやで」

「いや誰がインフルエンザワクチンの商品説明見るんだよ。お菓子なら見るけど」

「ここおるで」

「お前以外は?」

「僕以外多分おれへんな」

「だろ?そういえばこの見るからにヤバそうな色の薬は何なんだ?」

 と俺は机にある見るからに禍々しいオーラを持った液体を指さした。

「あーそらな、毒薬やで。浴びたり触ったりしただけで体が痺れたり、目まいを引き起こすで」とさらっと怖いことを蒼が言った。

「なんてもの作ってんだよ」

「毒薬づくりだって薬学の一つだし、僕の仕事の一つやで」

「毒薬づくりって...お前何の仕事してたんだよ?」

「主に薬屋やけど、頼まれれば毒薬も作る仕事もしとったで。どっちの薬も一撃必殺やったんやさかい!すげーやろ?これでどんな動物も仕留めたり、駆除したりできたんやぞ。どんな動物でもな」

「主にどんな動物仕留めていたんだ?」

「人間やら、熊やら鹿やな」

「ちょ、まて。なんか今仕留めちゃいけないのいなかったか?」

「んー気のせいちゃう?それにもしそれで死んどったとしてもそらそれ盛った奴が悪いし、僕悪ないと思うで」

「明らかに殺〇補助だな。今までそういった以来何件受けてきたんだ?」

「うーん。毒薬は今まで最低でも200はあるけど、その時僕はいつも何仕留めるのか聞いてへんさかいな。あんまりわかれへん」

「じゃあギリ大丈夫...なのか?」

「だと思うで」

「今度そういう薬のつくり方教えてよ」

「ええで」

「ありがとうな」

「こちらこそ話し相手ができて楽しいで。あっそうや君の能力って何?」

「俺のは毒薬無効と自己治癒だよ」

「そうなんや。意外と使るなぁ」

「だろ?」

「うん」

「ここって看守にばれてないのか?」

「怪しまれてはいるけど、ダイアルの番号ばれてへんし、いけるで」

「まじかよ。なんでわからないんだよ」

「いや逆に君たちがすごかってん思うで」

 んなわけないだろう。だって9999だぞ?あのあからさまに適当なやつなんで看守たちはわからないんだよ...おかしいだろ。

「それに看守たちも大したことあれへんのやろ?知らんけど」

「それは違うな。一定数強い能力を持ち、それを使いこなせる奴が看守の中にはいるぞ。そいつらは相当強い」

「肉弾戦は得意ちゃうが、僕の能力で熊やら使ったら楽そうやけど...」

「それがそうとはいかないんだよな」と言い、俺は今までのことについて話し始めた。

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